皆様は、新聞や雑誌などの出版業界に興味はありますか?人がいる限り需要が失われることの無い、メディア業界へ進出するつもりはありませんか?
今回は、出版業界やマスコミ業界へ進みたい方にお勧めの資格「校正(こうせい)技能検定」についてまとめてみました。
Contents
校正技能検定とは?
校正技能検定は、書籍や雑誌などの誤字脱字、表記の誤りなどの確認、修正能力を認定する検定試験です。校正技能検定の資格は、文書の作成や文章の点検業務に関する職業でとても役立ちます。
特に出版業界やマスコミ業界へ就職を考えている方におススメしたい資格です。
この様な職業を校正者(こうせいしゃ)や校閲者(こうえつしゃ)と言い、書籍や雑誌などが世の中に出回る前に確認をする「最終防衛ライン」として、とても重要な役割を果たしています。
ドラマ「地味にスゴイ!校閲ガール」の影響
2016年に放送されたドラマ【校閲ガール】のヒットにより、校正者や校閲者という職業に注目が集まりました。
有名女優の演じる主人公が、真剣に校閲という仕事へ向かう情熱的な姿勢に魅了されたり、一時期流行った「○○ガール」という呼称により、親しみやすく、多くの方が注目した職業です。
校正者の具体的な仕事内容
正者の主な仕事は、つけ合わせと赤字照合です。
校正者のお仕事に関して、具体的な作業内容がこれだけでは分からないと思いますので、簡単にご説明させていただきます
つけ合わせ
つけ合わせとは、著者の書いた原稿が、校正刷り(こうせいずり)にしっかりと反映されているかを確認する作業です。
具体的な作業は、原稿に対して、出版用に編集されたもの(校正刷り)が、しっかりと指定通りのフォント・行間・漢字の統一などで編集されているかを一文字ずつ確認していく作業です。
赤字照会
赤字照会とは、初めて提出された校正刷り(編集済み)の原稿に対して、再校校正刷り(指摘箇所をさらに修正した書類)に修正が必要になった部分が、しっかりと修正されているか、文章同士を見比べて確認する作業の事を言います。
校閲者の具体的な仕事内容
校閲者は、素読みと事実確認が主な仕事です。校正者とは違い、こちらは文章を読むのが大切になります。
素読み
素読みとは、簡単に言えば、渡された校正刷り(ゲラ刷り)を読み、文章に不整合があったり矛盾や文脈の乱れ(母・母上・お母様など、統一性がない呼称の乱れ)などを確認する作業になります。
素読みの明確な定義は存在せず、それぞれの出版社により様々なルールが存在します。
ノンフィクションの出版物に年号が記載されていれば、それに不一致がないか確認したり、表示されているページ数に誤りが無いか確認、ルビ(ふりがな)の不一致が無いかの確認なども含まれる場合があります。
事実確認
事実確認は、読んで字の通り、事実に違いがないか確認をする作業です。固有名詞が合っているか?記載されている電話番号に間違えは無いか?等です。
時には辞書を引いて確認したり、記載されている電話番号に電話を掛けて、実際に繋がるのか調べたり、URLにアクセスして、スペルミスがないか確認したり、隅々まで細かく確認をしていきます。
校正と校閲の違い
校正(こうせい)と校閲(こうえつ)とは、同じようで作業内容が違います。校正者が主に行う作業は、つけ合わせと赤字照合で、校閲者の主な作業は、素読みと事実確認です。
校正は文章を読み込んで作業をすると言うよりは、文章におかしな部分がないかを確認するのが仕事で、校閲は文章をよく読み込んだうえで作業をする仕事となります。
そもそも校正技能検定は必須資格なの?
校正者や校閲者になるために、校正技能検定の資格は、必須ではありません。
しかし、全くの無駄ということは、決してないです。どんな資格でも同じですが、資格取得の際に勉強した内容は、校正者として仕事をしていく時、業務で多く活用する事が出来ます。
結論を言いますと、校正技能検定資格を取得するのも取得しないのも自由です。
ですが、取得するメリットはたくさんあります。
校正技能検定の資格を取得するメリットは?
校正技能検定資格がある事により、本気でこの業界を目指す方にとってはとても力強い味方になります。
もちろん履歴書に書く事もできますので、しっかりとアピールする事が可能です。
特にフリーランスで働く事をお考えの方は、受注出来る仕事の幅が広がったり、高単価のお仕事を狙うのにも役立つので、取得をお勧めします。
資格を取得しない場合のデメリットは?
校正技能検定の資格を持っていないと、受注出来る仕事の数が減ってしまいます。もちろん、全く無い事はありませんが、企業へ就職する事を考えても、全くの未経験者と「資格取得者」では、面接官の印象も違いますよね?
フリーランスで働く場合も、受注できる案件が少なかったり、報酬額が低い事が多いです。校正の募集状況を見るとそれがよく分かると思います。
文章校正ツールで出来ること
先程少し触れた文章校正ツールとは、自動で校正を行ってくれるツールです。それだけあれば、校正者の仕事なんてもう必要ないのでは?と感じると思います。
日本語はとても複雑です。同じ漢字でも、文章の前後で読み方が変わったり、一文字の違いで大きく意味が変わってきます。
それらの複雑な違いに対応できるレベルになるには、まだまだ技術の進歩が必要になります。
校正ツールの使い方としては、ざっくりとツールで校正し、その後プロの目で再確認する。この様な使い方が出来るので、修正箇所の削減を目的として捉えれば、かなり役に立ちます。
校正技能検定の特徴
校正技能検定には、初級・中級・上級の3段階があります。
日本エディタースクールが主催する検定で、中級と上級は取得するのに実技試験と学科試験に合格しなければなりません。初級については各教育機関にて、校正技能検定委員会(日本エディタースクール)が認定した単位科目を修得したら認定されます。
初級に関しては、試験は無く単位科目を修得すれば、取得出来るのが特徴です。
また、日本エディタースクールに入校し、中級以上の資格を取ると、「日本校正者クラブ」に入ることができます。
ここでは、情報交換や校正の求人情報も定期的に教えてくれます。
校正技能検定の資格取得方法
校正技能検定の資格には、初級・中級・上級の3種類があり、それぞれ資格を取得するための条件があります。各級の取得方法をまとめましたので、参考になれば幸いです。
校正技能検定初級の取得方法
“校正技能検定初級”を取得するには、【所定の教育機関】において単位科目を修了すれば、試験は無くそのまま初級の資格を取得することが出来るとお伝えいたいました。
日本エディタースクールの場合、取得する方法は全部で6種類あります。
- 全日制 校正者養成専門コース/459,950円
- 夜間通学講座 総合コース/253,920円
- 夜間通学講座 校正コース/205,940円
- 土曜日通学講座 校正基礎+実習コース/132,190円
- 通信講座 校正コース(おすすめ)/50,280円
- 通信講座 フレックスコース/37,710円
社会人の方の多くは、日本エディタースクールで取得しています。
校正技能検定中級の資格取得方法
“校正技能検定中級”の資格取得には、筆記試験と実技試験をクリアする必要があり、さらに以下のような受験資格が必要になります。
- 校正技能検定初級の資格を取得している。
- 各種教育機関で、一定の実技訓練を受けている。または校正実務を経験したことがある。
- 校正技能検定委員会(日本エディタースクール)において、上記の2項目に準ずるとして認定されている。
校正技能検定上級の資格取得方法
“校正技能検定上級”の資格を取得するには、中級試験と同じように筆記試験と実技試験をクリアしなければなりません。
また、必ず“校正技能検定中級”の資格を取得している必要があります。
校正技能検定の試験内容
お伝えした通り校正技能検定の初級資格には、日本エディタースクールの講座を受講するか、所定の教育機関にて単位科目を修了すれば、取得が出来ます。
ですが、中級・上級の取得には、筆記試験と実技試験をクリアする必要があります。
中級検定の試験内容
検定内容の説明にもたくさんの専門用語が出てくるため、出来る限り分かりやすい文章に置き換えてご説明いたします。
校正技能検定・中級の実技検定内容
主に一人で行う校正作業に関して、一通りの作業が出来ているか確認されます。
- 初校原稿の引合わせ(一人で行うつけ合わせ作業の事)
- 実技Ⅰ(90分):縦組(縦書き)原稿の引合わせ作業、原稿指定付きの手書き原稿またはPCデータのハードコピーを印刷会社で文字入力などの実技
- 実技Ⅱ(60分):横組(横書き)原稿の引合わせ作業、原稿指定付きの手書き原稿またはPCデータのハードコピーを印刷会社で文字入力などの実技
- 実技Ⅲ(60分):縦組データ入稿の赤字照会と通読、原稿指定付きの赤字も含めた、指定付きPCのハードコピーとCD-Rを印刷会社に入稿などの実技
※原稿指定とは、執筆者の希望や留意事項を赤字などで書き込む事です。
※入稿とは、原稿を印刷所に渡す事です。
※通読とは、初めから終わりまで一通り読むことを言います。
校正技能検定・中級の筆記試験内容
筆記試験は3つの項目に対して行われます。
- 校正作業に必要な知識
- 用事や用語に対する知識
- 一般教養
出題範囲に対して、○×式または筆答式で解答します。
校正作業に必要な知識とは、主にフォントや記号、原稿指定などの知識が問われます。
用事・用語に関する知識の方は、字体や読み書き、同音異義語や送り仮名などの知識と、ふりがな遣いの知識が問われます。
最後に一般教養の3項目です。
中級検定の場合は、実技試験のみ合格基準に達したら準中級として認定されます。
準中級の資格保持者は、その後2回の試験まで学科試験のみの【準中級検定】を受験することができ、この検定に合格すると“校正技能検定中級”の資格を取得することが可能です。
上級検定の試験内容
上級検定は、中級検定に内容は似ていますが、実技試験・筆記試験共に旧字体や歴史的仮名遣いなどが含まれたりと、さらに複雑な知識が問われるようになります。
上級の実技試験内容
試験の内容は中級検定と似ていまが、さらに深い知識が必要です。
- 実技Ⅰ(90分):初稿原稿の引合わせ、縦組原稿指定付きの手書き原稿またはPCデータのハードコピーを印刷会社で文字入力などの実技作業
- 実技Ⅱ(90分):初稿原稿の引合わせ、横組原稿指定付きの手書き原稿またはPCデータのハードコピーを印刷会社で文字入力などの実技作業
- 実技Ⅲ(90分):再校赤字引合せと素読み、縦組赤字入り初校校正刷りと再校校正刷りの,引合せと素読みなどの実技作業
※初稿原稿とは、一番最初の原稿のことを言います。
※再校校正刷りとは、一番初めの校正刷りに対して、指摘した部分を修正した校正刷りのことです。
上級の筆記試験内容
こちらも中級検定と内容は同じです。問われる内容が、より複雑なものになります。
回答方法も同じく○×式および筆答式となります。
校正技能検定の合格率
校正技能検定の初級については、日本エディタースクール他、所定の教育機関で単位科目を修得したら、取得することが可能です。
では、中級・上級の合格率はどのようになっているでしょうか?
中級試験の合格基準は、実技試験と学科試験の合計が85点以上で合格となり、上級試験は、実技試験と筆記試験が一定の基準に達していることで、合格となります。
中級試験の合格率は約40%で、上級試験は約30%の合格率となります。
採点基準・合格者は、校正技能検定委員会が決定していますが、残念ながら明確な配点などは公開されていません。
資格取得までにかかる時間
校正校閲に関して全くの未経験者だった場合、まずは講座に通う必要があります。
“校正技能検定初級”に検定試験はありませんが、所定の講座で単位を修了する必要があります。
講座の修了には、最低でも半年程度必要になります。
そこから中級・上級を目指す場合は、試験開催日程が決まっています。
日本エディタースクールの通信講座を受講した場合、毎月生徒の募集をしているため、タイミングよく講座を受講すれば初級資格を取得してすぐに申し込みができます。
試験申し込みは、試験開催日のおよそ2ヶ月前までに完了しなければいけないので、最短8ヶ月ほどあれば中級検定を受験する事ができます。
これも講座にいつから入校するかによって変わってきますが、上級検定合格までには、約1年くらい掛かると思った方がいいです。
現在、校正者として活動されている方の場合、知識の量にもよりますが、3ヶ月程度の勉強時間が必要になります。
試験にかかる費用や受験方法は?
試験にかかる費用は、3種類あります。
- 中級検定 8,800円(税込)
- 準中級検定 3,300円(税込)
- 上級検定 9,900円(税込)
準中級検定とは、準中級資格を所持している方が、中級検定を再受験する際の検定です。
この試験に合格すれば、中級の資格を取得する事が可能です。
検定の申請手続き方法
まず、メールフォームから申請手続きをして、返信されてきた案内メールに沿って申込書の提出を完了する必要があります。
申請手続きの方法は3つです
- ダウンロード申請
- 郵送申請(要項代100円+送料94円の切手を送る必要あり)
- スクールの窓口で申請(要項代100円)
中級検定と準中級検定は、7月と12月の年2回開催します。
上級検定は、毎年3月に開催しています。
検定料の支払い方法
検定料の支払い方法は以下の通りです。
- 銀行振り込み
- 郵便振替
- 現金書留
上記の3種類から選択でき、締切日までに納入する必要があります。
郵送で申し込みの場合は、締切日必着で送付する必要があります。それと同時に、銀行振り込みと郵便振替を希望の場合は、検定料の納入が必要になります。
現金書留を希望の場合は、申込書と現金を同封し、送付するようにしてください。
校正技能検定の取得におすすめの勉強方法
校正技能検定の初級を取得するためには、指定のスクールを修了している必要があります。スクールに直接通う方法もありますが、おすすめは通信講座で勉強する方法です。
色々な所で通信講座は行われていています。資料を無料で取り寄せ出来るので、比較してみると、自分に合った勉強方法を見つけやすいです。
おすすめの通信講座
数ある通信講座の中でおすすめなのが、校正技能検定を主催している、日本エディタースクールの通信講座「校正コース」がおすすめです。
通学制の夜間部校正コースや土曜日校正教室と同程度の校正教育が、この通信講座で受けられます。
学費も5万円程で、手を出しやすいのもポイントです。通学制の夜間部校正コースや土曜日校正教室は、10万円以上の学費が掛かってしまいます。
忙しい方は、学校に通う時間が取れない場合も多いと思いますので、費用的にも時間的にも、通信講座で勉強するメリットは大きいと感じます。
在宅しながらでも合格できるの?
もちろん可能です。校正技能検定の初級は、日本エディタースクールの通信講座や、所定の教育機関で単位科目を修了すれば、試験を受けずに取得することが出来ます。
中級と上級の資格取得には、試験を受ける必要がありますが、通学している方と在宅で通信講座を受講している方の合格率は同じです。
子供が小さくて学校に通う時間がない方や、仕事が忙しくて通えない方も、しっかりと勉強をすれば問題なく試験クリアを目指すことが可能です。
おすすめのテキスト
通信講座の教材をしっかりと学習すれば、校正技能検定の資格取得は可能です。
ですが、それだけでは不安でしたり、実際に校正校閲の仕事に就いてからも役立つテキストをいくつかご紹介させて頂きますので、参考になれば幸いです。
標準 校正必携 第8版
こちらのテキストは、校正技能検定を主催している日本エディタースクールが出版しています。
校正や執筆、原稿整理等の具体的な指針として幅広い層に活用されてきた、正にバイブル的存在です。
ロングセラーを記録している本書は29年ぶりに改定された、常用漢字表も反映されていて、これまで以上に字体の問題にも対応しています。資料も満載で、持っていて損はない一冊です。
実例 校正教室
こちらのテキストは、校正に必要な知識を幅広い範囲で取り扱ったものになります。
タテ組・ヨコ組それぞれの実例が掲載されていて、問題集もついているので、実際の作業に慣れるという点でも、校正技能検定の中級・上級を取得するための勉強にも非常に役立つ一冊です。
校正記号の使い方
校正校閲の現場には、様々な専門用語や記号が飛び交います。全くの無知で飛び込んでしまうと、聞いたことのない単語ばかりで、作業に入る前に言われた単語の確認作業をしなければいけなくなってしまう、なんてことになりかねないです。
こちらのテキストでは、そういった専門用語を分かりやすくまとめた一冊です。本格的に校正に携わる人にとっては必須といえる程、ビギナーの方からベテランの方まで役に立つテキストです。
専門用語が分からなければ、そもそも問われている事が分かりませんので、資格試験でも心強い味方になります。
校正者・校閲者の仕事が向いてる人
この仕事は、人と話す事がほとんどありません。文字を読むことが好きだが、人と話すのは苦手な方などに向いている仕事と言えます。
他には、動くことが少ない仕事なので、じっとしていられる人や、一つの作業に集中出来る人、負けず嫌いな人にも意外と向いている仕事です。
主な就職先と年収
出版社やフリーランスの仕事しか無いと思われるかもしれませんが、他にも校正校閲専門のプロダクション会社やホームページの制作会社、漫画家や小説家など、結構色々な働き方があります。
年収はどのくらい稼げるの?
大手の新聞社や出版社に勤めている場合、平均で400~500万ほどと言われています。
責任者等の役職者になれば、年収1,000万以上を目指すことも可能です。
プロダクション会社での正社員雇用の場合は、少し低めの300万~400万となっています。
ですが、実際に会社に勤務している校正者の方はそこまで多くはありません。多くの方はフリーランスで校正の仕事をしています。その場合は出来高制となります。
一文字0.5円や、多い方ですと一文字10円という高単価の依頼も出来るようになります。駆け出しの時は、100万~200万位しか得られないことも多いですが、経験や能力を身につければ年収1,000万近く稼ぐことも出来ます。
番外編
番外編として、校正技能検定と似た資格で、『校正士』という資格もあります。校正士の場合は、必ず校正実技講座に入学する必要があり、入学料は、45,740円です。
校正士の特徴
校正技能検定を主催する、日本エディタースクールとは違い、コチラは一般財団法人の実務教育研究所が主催しています。
在宅での校正作業を想定しているので、締め切りまでに自宅で試験問題を校正し、提出するという実践的な方法で実施されており、合格すると「校正認定書」が交付されます。
残念ながら、試験の申し込み方法や実施日、費用や合格率など、全ての情報が非公開となっていて、詳細は校正実務講座を修了した方のみ知ることが可能です。
講座が修了してから約3ヶ月後に試験の案内が届きます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?地味で華々しさはありませんが、縁の下の力持ちとして、とても重要な作業です。通信講座で在宅で資格取得も出来ますし、そのまま仕事もできるので、お子さんがまだ小さくて働きにいけない方にもオススメです。
将来的には大きな収入を得ることも出来るので、興味があったら資料だけでも見てみるのをおすすめします。