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盲導犬訓練士になるには?やりがいや大変なことは何?資格取得方法・年収は?

資格を取りたい人
資格を取りたい人
つい最近街中で白い変わった形のリードをつけている犬が散歩していたよ。
資格のエキスパート
資格のエキスパート
それはきっと盲導犬のことですね。

みなさんは街中で盲導犬を見かけたことはありますか?
盲導犬とは視覚障害のある人の生活をサポートを仕事とする犬のことを言い、ハーネス(白い胴輪)をつけてユーザーさんが安全に歩けるように手助けをします。

そんな盲導犬を訓練する盲導犬訓練士というものがあります。この記事では盲導犬訓練士の仕事内容や年収、資格、盲導犬を見かけたときの対応について説明していきます。

盲導犬訓練士という仕事

盲導犬訓練士とはその名の通り盲導犬を育成する訓練士のことであり訓練の他に以下のような仕事をしています。

  • 訓練犬の配食など日常のお世話
  • 視覚障害者からの問い合わせや体験歩行の対応
  • 盲導犬ユーザーへのフォローアップ
  • 盲導犬を引退した犬の飼育の希望者や盲導犬に不向きな犬のオーナー希望者への橋渡し役
  • 報告書などの事務作業
資格のエキスパート
資格のエキスパート
盲導犬を引退した犬をリタイア犬、
盲導犬に不向きな犬をキャリアチェンジ犬と言います。
資格を取りたい人
資格を取りたい人
訓練以外にもたくさん仕事があるね。

動物を扱う仕事ではありますが月に8~10日ほど休日もあり、就職先によっては夏季休暇や年末年始の休暇を設けているところもあります。

盲導犬の他にも警察犬や災害救助犬、聴導犬など人間のサポートをする犬はたくさん存在しそれに伴い訓練士も様々です。それらの犬の訓練士と盲導犬訓練士の違いはなんでしょうか。それは視覚障害者をユーザーとして訓練をする必要があるという点でしょう。盲導犬訓練士の特徴とも言えます。盲導犬訓練士は視覚に障害を持つ人が安全に生活できるためにはどんなことが必要なのかを念頭に置いて訓練を進めなければいけないのです。

ほかの訓練士との違いを簡単に以下の表にまとめてみましたので参考にしてみてください。

補助犬 盲導犬訓練士 視覚障害者のサポートができるように訓練をする
聴導犬トレーナー 聴力障害者のサポートができるように訓練をする
介助犬トレーナー 肢体不自由者のサポートができるように訓練をする
警察犬訓練士 ニオイをかぎ分け麻薬や犯人を見つける訓練をする
災害救助犬トレーナー 人命救助に携わる犬を育成、訓練をする
ドッグトレーナー 犬のしつけをしたり飼い主にしつけ方を指導する

盲導犬訓練士の認定と資格

盲導犬訓練士という国家資格は現在はまだなく、盲導犬訓練指定法人が認定しているのが現状です。個別に認定している法人もありますが現在11団体・14施設ある盲導犬協会のうち8つの施設は「認定NPO法人全国盲導犬施設連合会」に所属しています。連合会では認定試験を実施しており一定の審査、基準をクリアした上で素質があると判断された場合、盲導犬訓練士として認められ資格証を発行してもらえます。

協会名 所在地 連合会への所属
北海道盲導犬協会 北海道
東日本盲導犬協会 栃木県
日本盲導犬協会 (東京本部 事務所) 東京都
日本盲導犬総合センター「盲導犬の里 富士ハーネス」 静岡県
神奈川訓練センター 神奈川県
仙台訓練センター 宮城県
島根あさひ訓練センター 島根県
アイメイト協会 東京都
中部盲導犬協会 愛知県
日本ライトハウス 盲導犬訓練所 大阪府
関西盲導犬協会盲導犬総合訓練センター 京都府
兵庫盲導犬協会 兵庫県
九州盲導犬協会 総合訓練センター 福岡県
日本補助犬協会 横浜訓練センター 神奈川県
いばらき盲導犬協会 茨城県

盲導犬指定法人・訓練施設一覧参考

盲導犬訓練士になるには

盲導犬訓練士として認定されるにはまず全国にある盲導犬協会への就職が必須です。しかし随時募集しているわけではなく欠員が出たときのみ募集を行っています。新卒採用が不定期のため競争倍率も高く、就職枠を勝ち取るのはかなり難しいと言えるでしょう。また盲導犬協会は個々で活動しているため、協会の活動内容や盲導犬訓練士の資格の認定基準など施設によって違いがあります。盲導犬訓練士を目指す場合は事前に確認しておきましょう。目指す場合の進路としては以下のようになるかと思います。

高校卒業
大学や短大・専門学校・盲導犬訓練士学校
言語聴覚学や社会福祉学を学ぶ
採用試験
盲導犬育成団体に就職
盲導犬訓練士

入学前

進路フローチャートにある盲導犬訓練士学校とは日本盲導犬協会に併設された盲導犬訓練士になるための勉強ができる学校です。高卒~30歳までの人のみという入学制限が設けられています。学校といっても入学金はなく毎月の支払いは授業料の3万円のみです。しかし毎年入学者を募集しているわけではない上に運よく募集を見かけたとしても10人程度とこちらも狭き門ではあるでしょう。

入学後~入学中

入学後は本科で2年間学び、筆記試験や実技審査に合格すると専科へと進学します。そこでまた1年学び卒業となるのですが試験に合格しなければ卒業はできません。入学中の間は本科の学生は月8万円、専科の学生は月15万円の奨学金が支給されます。

卒業後

卒業後は大学や専門学校に入学した場合と同じように盲導犬育成団体の求人募集に応募できます。盲導犬訓練士学校の場合、盲導犬協会へ就職する前から訓練士について学ぶことができるというメリットはありますが入学募集が不定期であることや合格率が低いことも視野に入れて行動に移さなければなりません。

盲導犬訓練士の年収・月収は?

小動物看護士の給料

実際のところどれくらいお給料がもらえるのか気になるところですよね。
団体や施設によって多少の違いはあれど盲導犬訓練士のお給料の相場は約20万円くらいです。また初任給は約16万円と言われています。年収にすると、250万円~325万円が一般的です。

20万円の場合税金を除いて手取りは17万円前後になりますね。世間一般の20代の平均月収は20~24万円と言われているので比べると少し低いようですね。

ペット業界では能力や資格の有無でお給料の差が出てくることが多いのですが盲導犬訓練士の場合は年功序列です。下記のように年齢に比例してお給料も上がってきます。

  • 20代の給料:約16~17万円
  • 30代の給料:約20~24万円
  • 40代の給料:約25~30万円

盲導犬訓練士になれたとしても独立し、個人での開業は許可されていません。盲導犬協会や施設で働く以外の選択肢はないのですが盲導犬訓練士はとても重宝される職業です。10年以上働く人も少なくありません。経験を積んで勤続年数が長くなればなるほどお給料が上がることを思うとやる気とやりがいを保ちながら働けるのではないでしょうか。

盲導犬訓練士に向いている人

盲導犬訓練士

どんな人が盲導犬訓練士に向いているのでしょうか。
まず犬好きであることはもちろんですが盲導犬訓練士は犬と触れ合うことはもちろん盲導犬ユーザーを含めて人とも関わる機会が多い職業です。なので若い人からお年寄りまで幅広い人とのコミュニケーションを取ることができる人が向いていると言えます。

盲導犬の訓練は1年ほどです。育ててくれたパピーウォーカーさんから犬の性格や特徴などを聞いてその犬に合った訓練をしていかなければなりません。言葉が通じない動物を相手にする職業のため根気が必要となってくるでしょう。思い通りに指示が伝わらないこともたくさんあるかと思います。失敗を繰り返し我慢強く何度も挑戦できる人が向いているでしょう。

目の不自由な方とのコミュニケーションは視覚の共有ができないため言葉のみのやり取りになります。わかりやすいように工夫して説明できる臨機応変さや対応力も必要な素質と言えるでしょう。

盲導犬訓練士のやりがいや魅力、大変なこと

盲導犬訓練士のやりがいや魅力、大変なことについて説明していきます。

やりがいや魅力

盲導犬訓練士にとって担当する犬の成長を感じるときが一番のやりがいであり魅力と言えるでしょう。犬好きにとって毎日犬と触れ合えるというのはとても嬉しい環境です。また盲導犬ユーザー含め人とのコミュニケーションを楽しめる人にとっても魅力を感じる仕事でしょう。
盲導犬ユーザーが盲導犬とともに成長しているのを間近で見ることができるのもやりがいの一つです。目の不自由な人の生活が盲導犬によって豊かになる瞬間を目にしたとき感動と強いやりがいを感じるでしょう。
自分自身だけでなく盲導犬と盲導犬ユーザーみんなが成長できるという点が盲導犬訓練士の仕事においてやりがいと魅力なのだと言えます。

大変なこと

「指示が伝わらない」
「なかなか心を開いてくれない」
「反抗される」
言葉が伝わらない動物を相手にする仕事です。まず心を開いてくれないことには訓練に進むこともできず多くの盲導犬訓練士が苦戦する一番の課題のようです。
また訓練だけでなく日常のお世話も訓練士の大切な仕事のうちの一つです。散歩や食事、排せつの処理など体力をはじめ心身共に強さが必要です。

「犬が好き」「犬と関わる仕事がしたい」「目の不自由な人のサポートがしたい」といった気持ちは訓練士の仕事にとって大切なことではありますがその思いだけで続けていける仕事ではないでしょう。

盲導犬を見かけたときの対応

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もし盲導犬を街で見かけたら下記のことは絶対にしてはいけません。

  • 声をかけたり正面からじっと見つめたり口笛を鳴らす
  • 食べ物を見せたりあげたりする
  • 盲導犬をなでたりハーネスを触る
  • 自分のペットを近づけて挨拶をさせようとする

私たちにできる一番のことはそっと見守ることです。ハーネスをつけている間は盲導犬にとって自分の主人を守るという大切なお仕事中です。決して邪魔をしないようにしましょう。ですが信号の判断や目的地までの地図の確認など盲導犬にできないこともあります。信号待ちの場面では「赤ですよ」「青になりましたよ」などという声かけができるといいですね。道に迷っていそうなときには目的地までの地図を確認してあげたりなどお手伝いをすることも安心につながると思います。その場合いきなり肩や腕に触ると驚かせてしまうのでまずはユーザーせんへ声掛けからしましょう。

訓練士ではない私たちにもお手伝いできることはたくさんあります。目の不自由な人が外で安心して歩行できるように積極的に声掛けをしていきたいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
就職の倍率も高く、訓練士になるまでの過程が少し難しい職業ではありますが盲導犬訓練士は目の不自由な人に盲導犬を通して「外に出る勇気」を与えることのできるとても立派な仕事です。犬の訓練以外にもたくさん仕事はあり大変なことも多い反面やりがいを感じることも多いでしょう。
この記事を読むことで盲導犬ユーザーさんたちへの対応や盲導犬訓練士について理解を深めてもらえたら幸いです。盲導犬と盲導犬ユーザーさんがより過ごしやすい社会になるといいですね。