診療報酬請求事務能力認定試験は、厚生労働省が認定する民間資格です。
医療事務の主な仕事は以下の通りです。
- レセプトの作成
- 受付や電話などのお客様対応
- 医者や看護師の助手作業
- クラーク業務
レセプト作成:診察や薬の処方に対して出る点数を金額に直し、患者に請求する作業のこと
クラーク業務:大きな病院にて行われ、入院の手続きなどを細かく説明すること
今回は、数ある医療事務の資格の中でも価値のある診療報酬請求事務能力認定試験について解説します。
診療報酬請求事務能力認定試験に興味がある方はぜひ最後までご覧ください。
Contents
診療報酬請求事務能力認定試験が最高峰と言われる理由は?
一般的な医療事務の試験は比較的難易度が低いと言われています。
その中で診療報酬請求事務能力認定試験が最高峰と言われる理由は、以下の3つです。
- 出題内容が幅広い
- 難易度が高い
- 実技試験がある
それぞれ詳しく説明します。
出題内容が幅広い
試験の内容は、医療事務に関する内容が全て出るといっても過言ではありません。
受験案内に添付の「診療報酬請求事務能力認定試験ガイドライン」のとおりに出題されます。
詳しい内容は下記のとおりです。
- 医療保険制度等・公費負担医療制度の概要
- 保険医療機関等・療養担当規則等の基礎知識
- 診療報酬等・薬価基準・材料価格基準の基礎知識
- 医療用語及び医学・薬学の基礎知識
- 医療関係放棄の基礎知識
- 介護保険制度の概要
難易度が高い
出題内容を見ると難易度の高さが窺えますが、さらに診療報酬請求事務能力認定試験の難易度が高い理由があります。
それは、スキルの一定化と向上のために設立された試験だからです。
診療報酬請求事務能力認定試験は、資質の確保と能力の向上を目的に日本医療事務協会が設立しました。
実技試験がある
試験では、学科試験だけでなく実技試験もあります。
実技試験の内容はレセプトの作成で、外来のカルテと入院のカルテの2つがあります。
診療報酬請求事務能力認定試験の概要
診療報酬請求事務能力認定試験の2022年現在の試験概要は、下記の通りです。
- 認定団体:公益財団法人日本医療事務協会
- 受験料:9,000円(税込)
- 受験資格:なし
- 受験科目:医科または歯科
- 試験内容:学科試験(80問)・実技試験(2問)
- 試験時間:3時間
- 試験日:7月と12月(年に2回)
- 試験会場:札幌市・仙台市・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・新潟市・金沢市・静岡市・愛知県・大阪府・岡山市・広島市・高松市・福岡県・熊本市・那覇市(全国17会場)
試験の攻略方法!ポイントは解く順番と時間配分!
学科試験の出題形式はマークシートです。
解く順番のオススメと時間配分の目安はこちらです。
- 比較的簡単な外来カルテのレセプト作成(実技)→目安:30分
- 正確さが求められる入院カルテのレセプト作成(実技)→目安:1時間〜1時間20分
- 残った時間で学科(学科)→目安:1時間〜1時間10分
こちらが必ず正解というわけではないので、過去問で練習しつつ自分に合った順番と時間配分を考えてみてください。
試験では、診療報酬点数早見表やテキストの持ち込みが許可されています。※PCやスマートフォンはNG
限られた時間の中で、持ち込んだ表やテキストを素早く見れるように、付箋やインデックスで準備しておくことが大切です。
どんな人が試験取得を目指すの?
診療報酬請求事務能力認定試験は、医療事務で働いている全ての方が目指すわけではありません。
以下のグラフは、第1回~第56回 診療報酬請求事務能力認定試験の受験者状況です。
引用:公益財団法人日本医療事務協会「第1回~第56回 診療報酬請求事務能力認定試験 受験者状況について」
1.性別 女性:約90% 男性:約10%
2.年齢 20代以下:約40% 20代:約35% 30代:約15%
3.受験経験 有:77%
4.実務経験 無:76.5%
診療報酬請求事務能力認定試験の合格率
診療報酬請求事務能力認定試験【医科】の合格率は下記の表をご覧ください。
開催日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
第53回(2020年12月) | 5,378人 | 2,304人 | 42.8% |
第54回(2021年7月) | 3,138人 | 1,177人 | 37.5% |
第55回(2021年12月) | 4,913人 | 1,934人 | 39.4% |
第56回(2022年7月) | 2,313人 | 655人 | 28.3% |
第1回〜第56回の合計 | 405,325人 | 123,097人 | 30.4% |
多少バラつきがありますが、合格率の平均は30.4%です。
診療報酬請求事務能力認定試験は独学でも取得可能?
診療報酬請求事務能力認定試験を独学で取得する人もいますが、かなり難しいです。
特に勉強未経験者からすると、医療用語が多く堅苦しい内容で挫折しがちです。
さらに、レセプトの作成もあります。
レセプトの作成は、数をこなせばこなすほど良いですが、それほど時間がかかります。
独学に向いている方は以下の通りです。
- 医療事務の基本的な知識や経験がある方
- 勉強時間を十分確保できる方
- モチベーションをさげることなく集中して勉強することができる方
勉強方法は独学以外に通信講座と、ハローワークの職業訓練を利用して勉強することができます。
働きながら資格取得を目指すのであれば、通信講座がオススメです。
診療報酬請求事務能力認定試験の通信講座とは?
1番手っ取り早く試験取得を可能にするのが通信講座です。
試験の内容を絞って勉強することができ、わからないことは質問することができるので理解力がグンと上がります。
また、最短3か月で試験に挑めます。
診療報酬請求事務能力認定試験に合格すると資格手当がもらえるので、早く合格し早く就職すれば、通信講座の費用が浮くというメリットもあります。
医療事務に関する通信講座はいろんな会社が提供していますが、診療報酬請求事務能力認定試験の通信講座は「たのまな」と「フォーサイト」の2社しかありません。
2社の中でも複数のコースがあり、表にまとめたものがこちらです。
たのまな(ヒューマンアカデミー) | フォーサイト | |||||
通信講座名 | 医療事務+診療報酬請求事務能力認定試験対策セット | 診療報酬請求事務能力認定試験対策講座 | 診療報酬請求事務能力認定試験(医科)通信講座 | |||
コース名 | eラーニングコース | DVDコース | eラーニングコース | eラーニング+DVDコース | 通常セット | 通常セット+DVD |
料金(税込) | 78,000円 | 79,400円 | 52,000円 | 53,800円 | 42,800円 | 46,800円 |
分割 | 〇 | 〇 | ||||
学習期間 | 6か月 | 3か月 | 3か月 | |||
添削回数 | 6回 | 3回 | 記載なし | |||
質問回数 | 無制限 | 10回 | ||||
合格率 | 記載なし | 57.1% |
それぞれを詳しく解説します。
たのまな(ヒューマンアカデミー)
たのまなの診療報酬請求事務能力認定試験に関する通信講座は、4つのコースがあります。
①医療事務+診療報酬請求事務能力認定試験対策セット | eラーニングコース | 78,000円 |
---|---|---|
②医療事務+診療報酬請求事務能力認定試験対策セット | DVDコース | 79,400円 |
③診療報酬請求事務能力認定試験対策講座 | eラーニングコース | 52,000円 |
④診療報酬請求事務能力認定試験対策講座 | eラーニング+DVDコース | 53,800円 |
たのまなの通信講座の特徴は下記のとおりです。
- 教材:紙のテキスト・eラーニング・講義・添削課題・(②と④のDVDコースのみ)DVDと添削問題集
- 学習期間:①と②は6か月・③と④は3か月
- 在籍期間:①と②は12か月・③と④は6か月
- サポート:質問が無制限・無料延長制度・就職転職サポート・再チャレンジ制度・割引制度など
- キャンペーン:2022年12月5日まで15%オフ
- 合格率:記載なし(合格者は13年間で49,439名)
たのまなは、質問が無制限であったり、就職転職サポートがあったりと、サポートが充実しています。
試験当日に持ち込む用のテキストも用意されているので、試験本番も安心です。
①初心者向け
②初心者向け+DVDコース
③経験者向け
④経験者向け+DVDコース
eラーニングの機能は、以下の通りです。
- 24時間いつでも講義の視聴ができる
- 視聴履歴が見れる
- デジタルテキストが見れる
- 質問ができる
テキストを持ち歩くことなくスキマ時間も勉強することができます。
添削課題は模擬試験なので、本番の予行練習になります。
オンライン上で行い答えがすぐに分かるため、理解が深まり身に付きやすいです。
フォーサイト
フォーサイトの診療報酬請求事務能力認定試験に関する通信講座は、2つのコースがあります。
①診療報酬請求事務能力認定試験(医科)通信講座 | 通常セット | 42,800円 |
---|---|---|
②診療報酬請求事務能力認定試験(医科)通信講座 | 通常セット+DVD | 46,800円 |
フォーサイトの通信講座の特徴は下記のとおりです。
- 教材:紙のテキスト・eラーニング・講座・模擬試験・(②のDVD付きのみ)DVD
- 学習期間:3か月
- 在籍期間:記載なし
- サポート:質問10回・教育訓練給付制度対象
- キャンペーン:Amazonギフトコード最大1500円分プレゼント(合格者のみ)・オリジナル合格グッズプレゼント
- 合格率:57.1%(2021年12月の試験での結果)
フォーサイトは、教材に力を入れており、フルカラーの紙のテキスト・わかりやすい講座動画・eラーニングと、充実した中身の濃い内容となっています。
紙のテキストで記憶に残し、講座動画で理解を深め、eラーニングでスキマ時間も勉強することができます。
合格するために教材を工夫し、満点主義ではなく合格主義だからこそ最短で資格取得が目指せます。
マナブンの便利な機能は以下の通りです。
- PC・タブレット・スマートフォンどれからでもアクセスができる
- 講義動画は音声のみの視聴も可能
- ダウンロード機能がある(ネット環境がなくても何度でも視聴可能)
- 勉強スケジュールを立ててくれる
- 確認テスト
- 資格マンガ
- 質問箱
マナブンがあるとスキマ時間の勉強が円滑に行えます。
2社の通信講座のメリットとデメリット
「たのまな」と「フォーサイト」の通信講座のメリットとデメリットは以下の通りです。
- 基礎からしっかり学べるコースがある
- 何回でも質問ができる
- 添削してくれるのでモチベーションが下がりにくい
- その他サポートが充実している
- 費用が高い(最大36,600円の差がある)
- 勉強未経験者は必然的に医療事務もセットのコースになる(勉強量が多く費用も上がる)
- 教育訓練給付制度の記載がない
- 費用が安い(最大36,600円の差がある)
- 教材が分かりやすく勉強未経験者でも安心
- 合格のための勉強のため、範囲が絞られている(勉強量が少なく済む)
- 教育訓練給付制度の対象で講座費用の20%が返ってくる
- 質問が10回しかできない
- 添削など、サポートが少ない
- 合格のための勉強なので、深くは学べない
また、時期によってキャンペーンがあったりなかったりするので、こちらもしっかりチェックしましよう。
診療報酬請求事務能力認定試験のメリットは?
ここまで診療報酬請求事務能力認定試験について説明をしてきましたが、資格があるとどんなメリットがあるか説明します。
メリットは以下の通りです。
- 給料が上がる
- 就職や転職に有利
- 自信がつく
詳しく説明します。
給料が上がる
診療報酬請求事務能力認定試験の資格があると、資格手当がつくので給料が上がります。
正社員の場合は月給に5,000〜10,000円がプラスされ、パートの場合は時給が30円前後上がります。
また、パートから正社員になったり、医療事務講座の講師を任されたりと、昇格する可能性があり、自然と給料が上がります。
就職や転職に有利
診療報酬請求事務能力認定試験の資格は、医療機関の採用者からの評価が高いです。
履歴書でアピールすることができ、採用されやすい傾向にあります。
また、最初から診療報酬請求事務能力認定試験の資格を持っている人材を探している場合もあります。
その分就職や転職の選択肢が増えるので、無資格者より有利になります。
自信がつく
難易度の高い試験に合格したということは誇らしいことであり、自己肯定感が上がります。
また、医療事務の幅広い知識を得ることで引き出しが増え、処理能力も向上します。
まとめ
診療報酬請求事務能力認定試験は、医療事務の試験の中で最高峰と言われています。
試験は出題内容が幅広く、合格すると、迅速かつ丁寧に業務ができるか?を示すことができます。
試験勉強は独学では難しく、働きながら取得を目指すのであれば、通信講座がオススメです。
診療報酬請求事務能力認定試験に関する通信講座は2社しかないので、メリットデメリットを参考に、自分に合ったコースで資格取得を目指してください。