登録販売者とは、ドラックストアなどで薬を買う際に、薬の効果や副作用の説明をしてくれる人のことです。
近年では、薬局以外でも手軽に薬が買えるようになりました。
薬を販売する際は薬剤師か登録販売者を雇用する必要があるので、薬剤師の人手が足りない中、登録販売者の需要は高まっています。
この記事では、
- 登録販売者とは?
- 難易度や勉強方法は?
- 年収はどれくらい?将来性はあるの?
といったことが分かります。
登録販売者について知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
Contents
登録販売者の仕事内容とは?
登録販売者の主な仕事内容は医薬品の販売です。
他にも、薬選びのサポートや薬の説明、健康相談も行います。
勤務先は薬局やドラッグストア、ホームセンター、家電量販店など薬を置いている場所がメインとなります。
登録販売者は、一般医薬品の中でも第2類医薬品と第3類医薬品の販売が可能です。
薬の種類とは?
薬には、医療用医薬品・要指導医薬品・一般用医薬品と、大きく分けて3種類あります。
医薬品 | ||||
医療用医薬品 | 要指導薬品 | 一般用医薬品(市販薬・大衆薬・OTC医薬品) | ||
第1類医薬品 | 第2類医薬品 | 第3類医薬品 |
※OTC医薬品…Over The Counterの略で、カウンター越しに買える薬のこと。
医薬品3種類の説明は、下記のとおりです。
医療用医薬品:お医者さんが処方箋を出してくれた際にもらいにいく薬のこと
要指導薬品:医療用医薬品から市販薬になったばかりの薬のこと
一般用医薬品:どんな年齢や体型の方でも安心して飲める薬のこと
登録販売者と薬剤師の違いは?
同じ薬を扱う専門家ですが、登録販売者と薬剤師では大きく違います。
登録販売者 | 薬剤師 | |
薬の販売 | 第2類医薬品・第3類医薬品のみ | すべてできる |
薬の調合 | できない | できる |
資格の種類 | 公的資格 | 国家資格 |
受験資格 | なし | 薬学部に6年間通う必要あり |
勤務先 | 薬局・ドラッグストア・コンビニなど | 調剤薬局・病院・製薬会社・ドラッグストアなど |
登録販売者は、2009年6月に薬事法改正によって誕生しました。
それまでは薬剤師と薬種商の資格を持った人でないと医薬品の販売ができませんでしたが、薬種商は廃止され、登録販売者資格が新設しました。
今では薬剤師に次ぐ「医薬品販売の専門家」として注目を集めています。
登録販売者試験とは?
2022年現在の登録販売者試験の概要は、下記の通りです。
受験日:8月〜12月 ※都道府県によって異なる
受験会場:各都道府県
受験料:12,800円〜18,200円 ※都道府県によって異なる
受験資格:なし
受験日・受験会場・受験料は、都道府県によって違います。
各都道府県で受験の申請をするので、自分の受験する都道府県のHPを確認しなければいけません。
試験問題の内容
試験問題の内容は下記のとおりです。
- 医薬品に共通する特性と基本的な知識
- 人体の働きと医薬品
- 主な医薬品とその作用
- 薬事関連法規・制度
- 医薬品の適正使用・安全対策
全国共通で、厚生労働省が公開している「試験問題の作成に関する手引き」から出題されます。
問題は、マークシート形式で出題されます。
全120問で、解答時間は240分です。
合格点は全体の7割以上なので、84点以上獲得すると合格となります。
さらに、各項目の3.5〜4割以上正解する必要があります。
登録販売者試験の難易度
「試験問題の作成に関する手引き」から出題されるものの、都道府県によって問題の内容は異なります。
よって都道府県によって合格率も異なります。
下記表は、2021年度に行われた試験の合格率です。
都道府県 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
北海道 | 2,236 | 948 | 42.4% |
青森県 | 808 | 318 | 39.4% |
岩手県 | 954 | 394 | 41.3% |
宮城県 | 1,749 | 759 | 43.4% |
秋田県 | 560 | 183 | 32.7% |
山形県 | 533 | 205 | 38.5% |
福島県 | 932 | 330 | 35.4% |
茨城県 | 1,344 | 642 | 47.8% |
栃木県 | 981 | 420 | 42.8% |
群馬県 | 1,405 | 715 | 50.9% |
埼玉県 | 2,886 | 1,178 | 40.8% |
千葉県 | 3,025 | 1,251 | 41.4% |
東京都 | 4,888 | 2,112 | 43.2% |
神奈川県 | 3,311 | 1,615 | 48.8% |
福井県 | 578 | 282 | 48.8% |
岐阜県 | 1,287 | 682 | 53.0% |
静岡県 | 1,607 | 916 | 57.0% |
愛知県 | 3,519 | 2,078 | 59.1% |
富山県 | 718 | 383 | 53.3% |
石川県 | 926 | 481 | 51.9% |
三重県 | 759 | 396 | 52.2% |
山梨県 | 364 | 154 | 44.5% |
長野県 | 1,372 | 632 | 46.1% |
新潟県 | 956 | 442 | 46.2% |
滋賀県 | 9,402 | 5,295 | 56.3% |
京都府 | |||
大阪府 | |||
兵庫県 | |||
和歌山県 | |||
奈良県 | 657 | 321 | 48.9% |
鳥取県 | 285 | 172 | 60.4% |
島根県 | 338 | 194 | 57.4% |
岡山県 | 1,064 | 691 | 64.9% |
広島県 | 1,333 | 889 | 66.7% |
山口県 | 666 | 458 | 68.8% |
徳島県 | 9,402 | 5,295 | 56.3% |
香川県 | 624 | 397 | 63.6% |
愛媛県 | 840 | 543 | 64.6% |
高知県 | 441 | 231 | 52.4% |
福岡県 | 2,891 | 1,405 | 48.6% |
佐賀県 | 378 | 149 | 39.4% |
長崎県 | 705 | 310 | 44.0% |
熊本県 | 924 | 406 | 43.9% |
大分県 | 647 | 281 | 43.4% |
宮崎県 | 503 | 216 | 42.9% |
鹿児島県 | 929 | 326 | 35.1% |
沖縄県 | 763 | 282 | 37.0% |
※滋賀・京都・大阪・兵庫・和歌山は、関西広域連合により合算で発表されます。
合格率は平均すると、47.3%です。
受験資格が必要なく、独学で受験する人が多いので、難易度はそこまで高くありません。
各都道府県で試験を受けることができる?
登録販売者試験の難易度が易しい理由はもう1つあります。
各都道府県で試験を受けることができるという点です。
47都道府県を10ブロックで分けており、同じブロックの中では重複して受験することができません。
10ブロックの中から合格率の高い県を複数受験すると、受かる確率が上がります。
登録販売者試験は独学でも可能?
登録販売者の資格は、独学でも取得可能です。
独学での勉強方法は下記のとおりです。
- 自分に合った最新のテキストで勉強する
- 過去問を最低でも3年分は解く
- スキマ時間も勉強をする
1つずつ詳しく説明します。
自分に合った最新のテキストで勉強する
試験は、厚生労働省が作成した「試験問題の作成に関する手引き」をもとに出題されます。
こちらは厚生労働省のHPからPDFを無料でダウンロードすることができますが、正直とても難しいです。
厚生労働省HPより「試験問題の作成に関する手引き(令和4年3月)」
費用はかかりますが、図や解説が入ったわかりやすいテキストの購入をオススメします。
また、法薬機法の改正があるので、最新のテキストを購入しましょう。
過去問を最低でも3年分は解く
テキストである程度勉強した後は、ひたすら過去問を解きます。
オススメの過去問のテキストは後ほどご紹介します。
過去問を解くと、学んだことをアウトプットすることができるのでテキストで学んだ内容がより身に付きます。
また、問題の出題傾向がわかるので試験対策にも繋がります。
ただ解くのではなく、間違った箇所は解説を読んでしっかり理解することが大切です。
過去問は、解けば解くほど身に付きますが、最低でも全国の過去問を3年分は解きましょう。
スキマ時間も勉強をする
通勤時などのスキマ時間には、アプリの活用もオススメです。
間違った箇所を記憶してくれるアプリや、ひたすら過去問を解けるアプリなどがありますので、自分に合った勉強のしやすいアプリを選びましょう。
登録販売者 過去問完全解説
最新の過去問を収録しています。シリーズ累計DL数1,000,000突破しているあぷりです。
登録販売者 試験対策学習アプリ
テスト機能、ミスをした問題を復習する機能がついています。過去問傾向の把握もできます。
登録販売者 資格試験対策
解説も充実していますので、苦手な問題を簡単にチェックできます。
また、薬品に興味を持つことも大切です。
オススメの過去問
オススメの過去問はこちらです。
Amazon「医薬品登録販売者過去問題集2022 単行本 マツキヨココカラ&カンパニー(著)」
去年の過去問は、各都道府県のHPに無料で掲載されています。
問題と答えが載っているので、47都道府県すべてやっても対策にはなりますが、解説がありません。
費用をできるだけかけたくない方はHPでも良いですが、テキストを購入した方がスムーズに勉強ができます。
正式な登録販売者とは?
実は正式な登録販売者と名乗るには、合格してから5年の間に2年以上の実務経験が必要です。
合格後2年以内は研修期間とみなされ、資格手当がつきません。
登録販売者の試験に合格しても、実務経験がなければ1人で医薬品を販売することができません。
管理者や管理代行者の指導のもとで販売する必要があります。
登録販売者の年収
登録販売者の年収の相場は、300〜350万円です。
日本の平均年収よりもやや低い傾向にあります。
日本の平均年収:433万円
日本の平均時給(パート・アルバイト):1,230円
給料と年収は、正社員かパートかによっても、勤務先によっても変わります。
正社員 | パート・アルバイト | |
薬局 | 月給:20〜27万円
年収:320〜430万円 |
時給:1,090〜2,000円 |
ドラッグストア | 月給:17〜25万円
年収:300〜400万円 |
時給:1,000〜2,100円 |
コンビニ | 月給:18〜35万円
年収:300〜560万円 |
時給:900〜1,300円 |
※資格手当を含んだ金額です。
勤務先別に詳しく説明します。
薬局の場合
薬局は医薬品を専門的に扱う場所なので、未経験の募集はなく、薬剤師か登録販売者に限定した求人となります。
そのため初めから給料が高く設定されています。
正社員で月給は20〜27万円、年収は320〜430万円です。
パート・アルバイトの時給は1,090〜2,000円が相場です。
ドラッグストアの場合
ドラッグストアは登録販売者の求人が最も多く、未経験者も募集しています。
パートやアルバイトから入って資格を取得し、正社員を目指す方も多いです。
正社員で月給は19〜25万円、年収は300〜400万円です。
パート・アルバイトの時給は1,000〜2,100円が相場です。
コンビニの場合
コンビニでは最近薬の販売をしても良くなったことから登録販売者の需要が高く、給料も高くなります。
正社員で月給は18〜35万円、年収は300〜560万円です。
パート・アルバイトの時給は900〜1,300円が相場です。
登録販売者の資格は無駄?
薬剤師と比べられることが多い登録販売者の資格は、無駄であると言われることもあります。
ですが、登録販売者の資格は決して無駄ではありません。
登録販売者の資格が無駄でない理由は、下記のとおりです。
- キャリアアップが期待できる
- 復職や転職がしやすい
- 資格が失効しない
- 日常生活でも役に立つ知識
- 登録販売者の需要が高まっている
詳しく説明していきます。
キャリアアップが期待できる
登録販売者の資格があると、ほとんどの勤務先で資格手当が付きます。
薬剤師に次ぐ薬の専門家として扱われるからです。
また、経験を積むことで正社員→店長→エリアマネージャーと、キャリアアップも期待できます。
資格取得後2年間は給料が低いですが、キャリアアップがしやすい点は大きなメリットになります。
復職や転職がしやすい
復職や転職がしやすい理由は、下記のとおりです。
- 勤務先が全国にたくさんある
- 同じ業種で働き続けることができる
- シフト制が多く融通が利くことから子どもがいても働きやすい
- 独立開業ができる
資格が失効しない
登録販売者の資格は、一度取得すると失効しません。
また、更新もしなくて良いので取得後は永遠に登録販売者と名乗ることができます。
資格取得していて損はないでしょう。
日常生活でも役に立つ知識
医薬品の知識はプライベートでも使えます。
自分の健康管理だけでなく、自身の子供や親など、家族の健康も守ることに役立ちます。
登録販売者の需要が高まっている
冒頭でも登録販売者の需要は高まっているとお伝えしました。
登録販売者の需要が増えている理由は、下記のとおりです。
- 薬剤師の人材不足
- 薬を販売する店が増えた
- 在宅医療や介護の場面でも役立つ
超高齢化社会ということで医療の分業化が進み、薬を販売する場所が増えています。
薬を販売する場所が増えると、薬剤師か登録販売者の雇用が必要になりますが、薬剤師は人手不足です。
また、高齢社会ということもあり、薬を扱う場面はたくさんあります。
薬を販売する場所以外でも、飲み合わせや副作用のアドバイスができることから在宅医療や介護の現場でも需要があります。
まとめ
登録販売者の資格は、実務経験が必要なく比較的簡単に取得できるにもかかわらず、将来あると便利な資格です。
登録販売者の需要が高まる中、取得しておいて損がない資格といえます。
今回は、
- 登録販売者とは?
- 難易度や勉強方法は?
- 年収はどれくらい?将来性はあるの?
といったことを解説しました。
高齢化社会の近年で、登録販売者は幅広く活躍することでしょう。