いま現在、介護職に就いている人でゆくゆくはケアマネジャーになりたいと考えている人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では
- ケアマネジャーの資格
- 仕事内容
- 年収
- 難易度
このようなことについて解説していきます。興味のある方はぜひ最後まで読んでいってください。
Contents
ケアマネジャーという仕事

ここまで文章を読んでいてケアマネジャーではなくケアマネージャーじゃないの?と思った人はたくさんいると思います。
実際のところどちらの呼び方も間違いではありませんが厚生労働省の文書はすべて「ケアマネジャー」となっています。
care managerを日本語的に発音するか(マネージャー)、英語圏の発音にするか(マネジャー)の違いで2通りの呼び方が生まれたようです。ケアマネと略されることも多いみたいですね。
それではケアマネジャーの仕事について解説していきます。
ケアマネジャーとは介護支援専門員のことであり、国家資格ではありません。
私たちが介護保険サービスの利用を必要としたときに最適なプランを作成し、関連する医療機関や自治体と連携を取りながらマネジメントをしてくれるお仕事です。大まかに以下の6ステップで構成されています。
①インテーク | 本人やご家族といったサービス希望者とケアマネジャーとの最初の面談 |
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②アセスメント | 生活状況や希望を聞き出して課題分析 |
③ケアプランの作成 | アセスメントを元に目標を設定し、ケアプランを作成 |
④サービスの調整や担当者と会議 | 具体的な支援を担う事業者を選定し、調整や会議を行う |
⑤サービス希望者の最終同意を得る | 調整や会議を得て完成したケアプランの最終同意を得る |
⑥モニタリング | サービス開始後、定期的に利用者宅を訪問しサービス状況や利用者のニーズの変化を確認 |
主な仕事はケアプランの提供ですが働く職場にって仕事内容が以下のように変わってきます。
住宅ケアマネジャー | 自宅に暮らす介護を必要としている高齢者にケアプランの提供やサービスを受けるための調整をする |
施設ケアマネジャー | 老人ホームへの入居者にケアプランやサービスの支援をする。介護に関する仕事もすることがある |
地域包括支援センターのケアマネジャー | 高齢者が要介護状態を防ぐため自立した日常生活を送れるよう支援をする介護予防ケアマネジメントが主な仕事 |
ケアマネジャーの資格
ケアマネジャーになるにはどんな資格が必要なのでしょうか。必要な資格や手続き、取得まで以下のような流れになります。
- 5年以上の実務経験と900日以上の従事日数を満たす
- 介護支援専門員実務研修受講試験を受験
- 介護支援専門員実務研修を受講
- ケアマネジャー(介護支援専門員)への手続き
それぞれの項目について簡単に説明していきます。
①5年以上の実務経験と900日以上の従事日数
ケアマネジャーの試験を受験するには基礎資格を持っていて5年以上の実務経験と900日以上の従事日数が必要となってきます。わかりやすく解説すると介護関連の施設や事業所に5年以上在籍していてかつ実際に介護をした日が900日以上必要ということです。
基礎資格とは以下のようなものがあります。
医師・歯科医師・保健師・薬剤師・助産師・看護師・准看護師・理学療法士・作業療法士・社会福祉士・介護福祉士・視能訓練士・義肢装具士・歯科衛生士・言語聴覚士・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師・栄養士(管理栄養士含む)・精神保健福祉
上記のような資格を持っていない場合、基礎資格を取って5年以上の経験を積んでからの受験となります。これからの取得の場合だど最低でも3年、医師や歯科医師は資格取得まで6年はかかるのでケアマネジャーになるまで8年から11年以上はかかることになりますね。
基礎資格の保有以外でも生活相談員や支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員といった役職に5年以上の実務経験と900日以上の従事日数があれば受験することは可能です。
②介護支援専門員実務研修受講試験を受験
介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)は年に1回、例年10月頃実施されています。
受験申込期間は6月上旬から約1か月間で受験手数料は7,800円~となっています。(2022年7月現在)
申込期間や受験手数料は各都道府県によって異なるためなるべく早い段階で必ず確認をしましょう。
試験に合格後、実務研修の案内通知が来ます。
③介護支援専門員実務研修を受講
試験に合格してもすぐにケアマネジャーになることはできず、研修を受けなければなりません。
介護支援専門員実務研修という研修を31時間以上受講し、全日程出席して修了しなければなりません。
実務研修は前期、実習、後期の3つに分けられます。それぞれの研修内容は以下の通りです。
前期 | 専門知識や技術の習得。ケアマネジメントに関わる法令やプロセス、居宅サービスの作成方法について学ぶ |
実習 | 居宅介護支援事業所で実習。前期での学びをもとにアセスメントシートやケアプランの作成をする |
後期 | 脳血管疾患や認知症などに関する具体例をもとにグループワーク演習をする |
④ケアマネジャー(介護支援専門員)への手続き
研修修了後、介護支援専門員資格登録簿に登録する手続きをして介護支援専門員証が発行されます。これで晴れてケアマネジャーと名乗ることができるのです。
ケアマネジャー試験の内容

ケアマネジャーの試験とはどういったものでしょうか。出題科目について以下の表にまとめてみました。
介護支援分野 | 介護保険制度の基礎知識 要介護認定等の基礎知識 居宅・施設サービス計画の基礎知識 |
25問 |
保健医療福祉サービス分野 | 保健医療サービスの知識 福祉サービスの知識 |
35問 |
合計60問あり試験時間は120分です。出題形式はマークシート方式で5つの選択肢から複数の解答を選びます。
1問1点で換算され、各分野で正答率70%が合格ラインとなっています。介護支援分野で18点、保健医療福祉サービス分野で25点取得を目指すのが良いでしょう。
参考として令和3年度第24回の試験問題と解答を掲載しておきます。
試験問題 解答
引用:東京都福祉保健局
ケアマネジャー試験の難易度と合格率

ケアマネジャー試験の受験資格を考えると難易度が易しい資格とは言えませんよね。ほかの介護関連の資格と比較しての難易度はいかがでしょうか。
偏差値 | 資格名称 |
55 | ケアマネジャー |
45 | 介護福祉士 |
45 | 介護事務管理士 |
44 | ケアクラーク |
44 | 認知症ライフパートナー 1級 |
上の表を見てもらうと介護関連の資格の中でケアマネジャーが一番難しいことがわかります。偏差値も2番目以降の資格と比べて10も違いますね。
ケアマネジャーはいわば介護サービスにおいてのトータルコーディネーターです。レベルの高い知識とスキルを求められるため難易度の高い資格となっています。
では合格率はどうでしょうか。近年の合格率を見てみましょう。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | |
第21回(2018年) | 3,636 | 469 | 12.9 |
第22回(2019年) | 2,132 | 575 | 27.0 |
第23回(2020年) | 3,527 | 815 | 23.1 |
第24回(2021年) | 4,166 | 1,153 | 27.7 |
表からわかる通り合格率は高いとはいえません。数値にばらつきはあれど10~20%であり難易度が高いことがわかります。
ちなみに2022年度の介護福祉士の試験の合格率は72.3%でした。ケアマネジャーと比べると介護福祉士の資格のほうが難易度が低いですね。
ケアマネジャーの年収
受験資格も厳しく難易度の高いケアマネジャーですが年収はどれくらいなのか気になるところですよね。年収やボーナス、一般的な職業と比べて給与は高いのか、そういったことを解説していきます。
ケアマネジャーの年齢によって差はあれど平均年収は330~370万前後といわれています。月々の給与は約24万円で手取りは19万円くらいでしょう。ボーナスに関しては勤務先によってあるなし、金額の差はあるものの基本給の約2か月分支給が多いです。
介護福祉士の年収は290~340万と言われておりケアマネジャーのほうが若干多いですね。介護職の中ではケアマネジャーの給与は高水準といえるでしょう。介護福祉士からケアマネジャーになった場合、給料アップの可能性が高いです。ですが日本の平均年収は450万円といわれているので一般的な給与水準よりも低めであることがわかります。
ケアマネジャーの年収をアップさせる方法
ケアマネジャーの年収、給料について解説しましたがあくまでも平均的な数値にすぎません。働き方や就職先によって多くも少なくもなり得るでしょう。では収入をアップさせる方法はあるのでしょうか。どのような働き方をするとよいのかお伝えしていきます。
経験年数を積みスキルを磨く
ケアマネジャーの仕事は経験を積むほどスキルが向上します。経験年数が長いほどスキルが高いという評価を得られ給与額が高くなる傾向にあります。資格取得に5年以上かかってしまうケアマネジャーですがそれ以上の経験とスキルによって給与条件は大きく変わってくるでしょう。
管理職に就く
経験年数を積みながらスキルを磨き管理職に就くと役職手当がつくため給料アップにつながるでしょう。また主任介護支援専門員という資格の取得をすることで管理職を目指しやすくなります。主任介護支援専門員とはケアマネジャーの上位資格です。資格の取得が活躍の場、業務範囲を広げ結果的に給料アップが期待できます。
独立する
ケアマネジャーは「居宅介護支援事業所」を設立して独立で働くことが可能です。
勤務型ではなく独立型になることで勤務先の経営に給料が影響されることもありません。自身の裁量で給料が変わってくるのです。しかし独立することによって制限措置などが関わってくるため経営する際の工夫は必要となってくるでしょう。
ケアマネジャーのやりがい

ケアマネジャーは決して楽な仕事ではありませんがサービスの提供をする側としてやりがいを大きく感じる瞬間はたくさんあるでしょう。主に次のようなときにやりがいを感じることが多いようです。
- 介護サービスの利用者やご家族の喜ぶ顔が見れたとき
- 自分が提供したプランによって利用者の生活や健康状態がが改善されたとき
- 利用者やご家族と信頼関係を築けたとき
利用者やご家族に感謝の言葉をかけてもらえるととても嬉しいですよね。提供したケアプランの取り組みによって利用者の要介護度が低くなった場合にはとてもやりがいを感じるでしょう。一方で希望通りのサービスの提供ができなかったりケアプランの作成に追われ残業が多かったりと大変なこともあります。
介護サービスの提供を含めケアマネジャーにしかできない手続きがたくさんあります。高齢化社会においてケアマネジャーはとても心強い存在なのです。
まとめ
以上、「ケアマネジャーってどんな資格?年収や難易度、合格率なども詳しく解説!」でした。
いかがでしたでしょうか。
ケアマネジャーは介護業界のさまざまな職場で活躍しています。高齢化が進む今後さらに活躍の場は広がるでしょう。大変なこともたくさんある職業ですがそれ以上にやりがいも感じられる職業です。
ここで紹介した内容がケアマネジャーへの仕事の理解や目指すきっかけになれば幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。