デザインや画像編集、動画編集に欠かせないソフトがadobeのIllustrator、Photoshop、Premiere Proです。
クリエイターを目指すのであれば使いこなすのは必須となるため、資格を取得することはスキルの証明につながります。
ここではadobeの資格は何種類あるのか?就職に有利か?難易度と勉強方法までお伝えしていきます。
Contents
adobeって何?

adobeとは、アメリカのカリフォルニアに本社を構えるソフトウェア会社です。
画像編集や動画編集、デザインなどクリエイティブな仕事に使えるソフトウェアを開発しています。
代表的なソフトはこの3つです。
- Illustrator(描画をデジタルでつくることができるソフトで、チラシやロゴ、商品パッケージなどに対応できます)
- Photoshop(写真の切り抜きや色の調整など、画像編集をするソフトで料理の写真やSNS投稿用写真などをつくることができます)
- Premiere Pro(テロップなどを入れた動画編集を行えるソフトで、企業の宣伝用動画などによく使われます)
Illustratorは円や丸の図形を重ねたり均一の線を書いたり、画像をレイアウトするのに適しています。シンプルなロゴやアイコンなどはIllustratorが得意とする分野です。
一方Photoshopは画像の精密な加工や合成に適しています。例えばコーヒーから湯気を立ち上らせたり、ブラシを使って流動的な絵を描き出したり、そういった繊細な加工はIllustratorにはできません。
上記の3つのソフトはどれも知名度があり、飲食点のメニューやHP画像、紹介動画などさまざまな場面で活用されています。
adobeの資格一覧!何種類ある?

adobeには、ソフトウェアのスキルを証明できる資格が3つあります。
- Illustratorクリエイター能力認定試験
- Photoshopクリエイター能力認定試験
- アドビ認定プロフェッショナル「Adobe Certified Professional(ACP)」
基本的に①と②が同種の試験となり、③との違いは以下となります。
- 主催団体の違い:①と②はサーティファイ、③はアドビ社が主催しています。
- 民間資格か国際資格か:①と②は民間資格、③のみ国際資格です。
- レベルが分けられているか否か:①と②はスタンダードとエキスパートの2段階のレベルがあり、③は一種類のみです。
- 試験に含まれるソフトの範囲:①と②はソフトウェアごとの試験、③はIllustrator・PhotoshopにPremiere Proを加えた3つのソフトの試験となります。
どの資格もソフトの操作のみならずデザイン力、創造性、デザイン用語など実践的な内容まで学ぶことができます。
試験を受ける際は、ソフトの専門性を高めるか、幅広く網羅するか、民間資格か国際資格かなど、さまざまな面から判断するようにしましょう。
それでは一つずつ解説していきます。
Illustratorクリエイター能力認定試験とは?
Illustratorクリエイター能力認定試験とは、サーティファイが主催するIllustratorを使ったコンテンツ制作能力を評価する試験です。
具体的には、Illustratorを用いて※DTPファイルやWebデザインパーツの作成をしたり、問題に出る指示に従って1つの新規ドキュメントから1つのグラフィックコンテンツ作品をつくり上げたりします。
※DTPファイル・・日本語では卓上出版といい、印刷物を作成するための原稿作成や編集、割り付け作業をパソコン上で行うこと。
Illustratorクリエイター能力認定試験の難易度は、スタンダードとエキスパートの2段階に分かれ、スタンダードの方が易しい級となっています。
エキスパートになると実技以外に知識問題が加わり、DTPファイルやコンテンツ作成の応用ができるようになります。
Illustratorクリエイター能力認定試験の試験時間と形式はこちらです。
- スタンダード→第1部(実技)40分+第2部(実践)90分
- エキスパート→第1部(選択式)50分+第2部(実践)90分
スタンダード・エキスパート共試験の詳細は以下となります。
- スタンダード第1部(実技)では、Illustratorを使って編集を行い、そのデータを提出して評価されます。問題数は7問〜9問です。
- スタンダード第2部(実践)では、実際に作品を制作します。テーマは一つで、できたものをデータとして提出する形です。
- エキスパートの第1部(知識選択式)は、Illustratorクリエイター試験の中で唯一の知識問題となっています。テーマ別に4〜6問出題され、複数の選択肢から選んで回答します。ウェブデザインやDTPに関する問題が出題されます。
- エキスパートの第2部(実践)は、Illustratorを使ってDTPファイル、ウェブデザインパーツを作成します。問題文に合わせて編集したデータを提出する形です。
Illustratorクリエイター能力試験の受験料はこちらです。
- スタンダード:7,600円
- エキスパート:8,600円
スタンダードは初心者向けとなっており、エキスパートもIllustratorを普段から使っている方やスタンダードに合格した方にとってはそう難しくないでしょう。
Photoshopクリエイター能力認定試験とは?
Photoshopクリエイター能力認定試験とは、サーティファイが認定するPhotoshopを使ったコンテンツ作成能力を評価する試験です。
具体的には、Photoshopを使って画像ファイルを作成したり、問題にある指示通りに新規ドキュメントから1つのグラフィックコンテンツを作り上げたりします。
ここで問われることは、問題の指示に従いコンテンツを作成する操作スキルと、指示を的確に読み取る問題解決力です。
難易度はIllustratorと同様、スタンダードとエキスパートに分かれ、スタンダードの方が易しい級となっています。
Photoshopクリエイター能力認定試験の試験時間と形式はこちらです。
- スタンダード→第1部(実技)40分+第2部(実践)90分
- エキスパート→第1部(知識選択式)50分+第2部(実践)90分
試験範囲はスタンダードの場合、Photoshopを使った画像処理の基本スキルとなります。
具体的な範囲は以下です。
- ファイル操作
- カラー選択
- 環境設定
- カラーモードと色調補正
- ペイント
- レイヤー操作
- テキストの入力と編集
- フィルター
エキスパートの試験範囲は、スタンダードの試験範囲+専門知識とスキルになります。
プラスされる範囲はこちらです。
- フィルターの応用
- 画像の入出力
- Web画像の作成
- アクションと自動処理
- DTP/Webデザインの基礎知識
上記の中でもカラーデザインやDTP、Webデザインは、より実務に近い内容です。
Photoshopクリエイター能力認定試験の受験料はこちら。
- スタンダード:7,600円
- エキスパート:8,600円
難易度はイラストレーターと同様、スタンダードは初心者でも勉強すれば合格できるレベルです。
エキスパートは、スタンダードに合格した方や日頃からPhotoshopの操作を行なっている方であればそう難しくないでしょう。
アドビ認定プロフェッショナル(ACP)とは?
アドビ認定プロフェッショナルとは、adobe社が主催するIllustrator、Photoshop、Premiere Proの基本的な知識とスキルを認定する試験です。
最大の特徴は、国際資格であることです。これによって日本のみならず海外でも通用する資格となります。
アドビ認定プロフェッショナルの世界学生大会は年1回アメリカで行われ、カリフォルニア州・フロリダ州・ニューヨーク州などその年によって開催地が変わります。
各国の決勝出場者は書類選考と作品審査、Skype面接で選ばれます。
代表になると往復航空券と宿泊費が免除となり、大会に出場することができるのです。
現地では各国の代表と交流できる歓迎レセプションやダンスパーティー、ニューヨーク観光なども催され、記憶に残る素晴らしい体験となります。
アドビ認定プロフェッショナルの資格は、2021年6月に名称が変更されたばかりなので、念の為覚えておきましょう。
- アドビ認定アソシエイト→アドビ認定プロフェッショナル
これに伴い、Premiere Proの試験が新たに追加されました。
試験はそれぞれのソフトごとに行われ、選択問題と実際にソフトの操作を行う操作問題があります。
試験形態 | CBT方式(コンピューター上で行う試験) |
試験時間 | 50分 |
出題数 | 30問前後 |
出題形式 | 4択と操作問題 |
合格基準 | 700点/1000点中 |
試験ではWindowsのみ使用可能で、ショートカットキーは使えない決まりになっていますので注意してください。
アドビ認定プロフェッショナルの受験料はこちらです。
- 一般:10,780円
- 学生割引:8,580円
難易度は公式では初心者向けとなっています。
専門用語が多く、基本的な操作から画像処理や編集の知識、単語などを学ぶ必要もあるため、勉強は必須ですが難しくはないでしょう。
adobeの資格!合格率と合格基準

adobiの資格は、Illustrator、Photoshopそれぞれの能力認定試験と、アドビ認定プロフェッショナルの合わせて3つあるとお伝えしました。
ここではそれぞれの合格率と合格基準をご紹介していきます。
Illustratorクリエイター能力認定試験の合格率と合格基準
Illustratorクリエイター能力認定試験の合格率は、2018年で70.4%、2019年度で67.3%、2020年度で72.8%です。(2020年度平均)
スタンダードとエキスパートそれぞれの合格率は公表されていませんが、いずれも6〜7割の合格率です。
合格基準はこのようになっています。
- スタンダード:実技得点率65%以上、実践得点率70%以上
- エキスパート:知識問題65%以上、実践問題70%以上
合格しやすい試験として初心者〜中級者におすすめです。
Photoshopクリエイター能力認定試験の合格率と合格基準
Photoshopクリエイター能力認定試験の合格率は、2018年72.3%、2020年73.9%です。
合格基準は、このようになっています。
- スタンダード:実技得点率65%以上、実践得点率70%以上
- エキスパート:知識・実技共に得点率65%以上
Illustratorと同様合格しやすく気軽に受験できる試験です。
アドビ認定プロフェッショナルの合格率と合格基準
アドビ認定プロフェッショナルの合格率は、公式でも発表されていません。
合格基準は1000点中700点以上です。
こちらもしっかりと勉強すれば、合格できる可能性は高いです。
adobeの資格は就職に有利なの?

adobeの資格は日本で就職する場合、有利というわけではありませんがアピールにはなります。
デザイナーやクリエイターは実務経験が重視されるところがあり、資格よりも実績が評価されます。
しかし近年求人サイトに歓迎要項としてアドビ認定プロフェッショナルの名前を見かけることも多くなりました。
主に以下のような職種で、必要なスキルを証明するのに役立ちます。
- イラストレーター
- クリエーター
- Webデザイナー
- グラフィックデザイナー
実績に自信が持てない場合は、資格でアピールするといいでしょう。
adobeの資格は就職に活かすことと同時に、自身の勉強やスキルアップに活用できる面が大きくなっています。
adobeの資格難易度は?
adobeの資格は初級〜中級といったところで、どちらかというと易しいです。
特にIllustratorクリエイターとPhotoshopクリエイターのスタンダードは初心者を対象としています。
ソフトを触ったことがない方でも1、2ヶ月勉強すれば合格できる試験です。
エキスパート級は普段からadobeのソフトを使っている方なら2週間程度の勉強時間で合格できます。
アドビ認定プロフェッショナルも範囲は広いですが初心者向けとなっているため、気軽に受けてみることをおすすめします。
adobe資格の勉強方法

adobeには、IllustratorとPhotoshopそれぞれのクリエイター能力認定試験と、アドビ認定プロフェッショナルの3つの資格がありますが、ここでは独学は可能か?スクールはあるか?おすすめテキストなどをご紹介します。
Illustratorクリエイター能力認定試験の勉強方法
Illustratorクリエイターの試験は難易度が初心者向けであることから、独学が可能です。
勉強時間は個人のレベルにより差はありますが、Illustratorを触ったことがない方は1日1時間を1〜2ヶ月程度、ある程度の知識と操作に慣れている方であれば1日1時間を2週間ほど勉強するイメージでいてください。
テキストと問題集は公式HPのものがおすすめです。
- 公式テキスト

Illustrator® クイックマスター Windows&Mac
- 仕様:A4 カラー
- 価格:2,600円+税
Illustratorクリエイター能力認定試験対策テキストで、基本操作から応用までを網羅しています。
- 公式問題集

- 仕様:B5 236ページ
- 価格:2,600円+税
こちらの問題集では模擬問題が多く収録され、本番の雰囲気を味わいながら学習することができます。
テキストを読んで問題集を解き、問題の傾向を掴みながら苦手な箇所を復習していきます。
こちらのテキストと問題集の内容をしっかり理解できれば合格に近づきます。
Photoshopクリエイター能力認定試験の勉強方法
Photoshopクリエイター能力認定試験も、初心者または中級者向けの試験となっているため、独学が可能です。
テキストと問題集は、こちらも公式のものがおすすめです。
- 公式テキスト

- 仕様:A4版カラー
- 価格:2,600円+税
Photoshopクリエイター能力認定試験の対策用教材で、画像編集の基礎から実践的なテクニックまで習得できるテキストです。
- 公式問題集

- 仕様:B5 242ページ
- 価格:2,600円+税
スタンダードとエキスパート各4題ずつ収録されています。実際の問題に近い形式で習得度を確認できます。
勉強方法はIllustratorと同様、テキストを読んで問題集を解いていく方法となります。
こちらもテキストと問題集の内容をしっかり理解できるようにしましょう。
アドビ認定プロフェッショナルの勉強方法
アドビ認定プロフェッショナルの試験には、教材を使用しての独学とスクールに通う方法の2通りがあります。
それぞれに勉強の仕方をご紹介していきます。
独学の場合
アドビ認定プロフェッショナルの資格を独学で勉強する場合、公式テキストと問題集を使って学習するようになります。
その際に注意していただきたいことが、2020年に名称が変わったことで試験の内容にも変更が加えられているという点です。
新しい試験に対応した公式テキストはまだ販売されていませんので、HPでは過去のテキストと問題集に対する相違点や差分などを解説したPDFが提供されています。テキストと照らし合わせ、変更点を確認しながら進めるようにしてください。
名称変更後に新たに加えられたPremiere Proだけは元々試験対策用のテキストや問題集がつくられていません。こちらは操作に関する入門書で基礎的な知識と使い方を学習していきます。
Photoshopクリエイター能力認定試験のテキストと問題集
Photoshopについて基本操作と知識を学べる公式テキストです。

ACA アドビ認定アソシエイト対応 Photoshop CC 試験対策
- 仕様:B5 244ページ
- 価格:2,200円(税込)
試験対策はもちろん、初めてPhotoshopを使う方にもおすすめのテキストです。
Photoshop模擬テスト&演習問題はこちらです。

ACA Photoshop CC 模擬テスト&演習問題(動画付)
- 仕様:模擬テスト3回、演習問題3回、解答動画本数75本
- 価格:1,650円(税込)
こちらは一部ファイルをダウンロードし、実際の操作ファイルを使って学習するようになります。
Illustrator能力認定試験のテキストと問題集

ACA アドビ認定アソシエイト対応 Illustrator CC 試験対策
- 仕様:B5 288ページ
- 価格:2,640円
Illustratorの基本操作と知識を体系的に学べる内容です。
イラストやデザインを作成するグラフィックスキルについて、わかりやすく解説しています。

ACA Illustrator CC 模擬テスト&演習問題(動画付)
- 仕様:模擬テスト3回、演習問題3回、解答動画本数75本
- 価格:1,650円
操作方法に関する動画も収録されていてわかりやすく学ぶことができます。
アドビ認定プロフェッショナルの入門書

改訂2版 知識ゼロからはじめるPremiere Proの教科書 CC対応
Premiere Proの基本的な操作方法から、動画編集の流れを学ぶことができます。
2020年の名称変更に伴い試験にも導入されたソフトですので、試験対策のテキストや問題集はまだ出ていません。
しかし公式HPにてこちらの入門書が試験にも役立つと紹介されていますので、教材として活用できるでしょう。
スクールの場合
スクールによる学習では、公式で以下のパソコン教室が紹介されています。
コースの内容については直接お問合せください。
所在地 | スクール名 | 電話番号 |
東京都新宿区 | バンフートレーニングスクール | 03-5229-8285 |
京都府京都市 | 楽しいパソコン教室 北大路駅前校 | 075-495-5669 |
福岡県福岡市 | アドバンスクール福岡天神校 | 092-791-7988 |
福岡県筑後市 | パソコンスクール ピーシーワークス | 0942-53-8851 |
この他にも全国に展開しているパソコン教室では、Winスクール、KENスクールなどがアドビ認定プロフェッショナルの講座を開講しています。
料金は4万円〜7万円と講座によって違い、独学より出費がかさみます。
試験対策のカリキュラムが出来上がっていますので勉強はしやすいです。
あとは費用面も考えて検討してください。
まとめ
adobeの3つの資格について、資格の種類と難易度、勉強方法までお伝えしてきました。
- adobeには、IllustratorとPhotoshopそれぞれの能力認定試験とアドビ認定プロフェッショナルの3つの資格がある。
- それぞれの資格について
- 試験内容
- 合格率と合格基準
- 就職に有利か?
- 効果的な勉強方法
adobeの資格は操作方法だけでなく、表現力や創造力などデザイン業界で必要となる能力を身につけることができる試験です。
ソフトは認知度が高く仕事で使う機会も多いため、勉強で得られる知識とスキルは今後の仕事に活かせます。
ぜひ資格を取得してクリエイターへの一歩を踏み出しましょう。