福祉用具とは、厚生労働大臣が定めた居宅で使用する用具のことを指します。
2000年に介護保険制度が始まり、利用者は福祉用具価格の1割を負担すれば、レンタル・購入できるようになりました。これに伴い、福祉用具の市場は拡大し続けています。
福祉用具は用途に合わせて様々なものがあり、1人で探すのは非常に困難です。そのため、福祉用具の専門知識を持つ、福祉用具専門相談員の需要は昨今非常に高い傾向です。
本記事では、福祉用具専門相談員の仕事内容から資格の取り方まで徹底解説していきます。
Contents
福祉用具専門相談員はどんな資格?
福祉用具専門相談員とは、高齢者や障害を持つ人、そしてご家族に対して、適切な福祉用具の提供や使用方法の説明できる公的資格です。提供後も、お宅を訪問して身体に合わせてメンテナンスなども行います。
高齢者や障害を持つ方が、1人では困難な動作も福祉用具によって可能になり、自立支援やご家族の介護負担を軽減することができます。福祉用具は、馴染みのある車椅子や、ベッドなどの大型のものから食器など小さなものまで様々なものがあります。
福祉用具専門相談員のポイント
- 福祉用具専門相談員は公的資格
- お客様のお宅を実際に訪問
- 提供後もメンテナンスをする
- 福祉用具は車いす、ベッド、食器など様々
公的資格とは、文部科学省・経済産業省などの省庁や大臣などが認定している資格です。試験の実施は民間団体や公益法人などになります。 知名度が高い資格が多く、 国家資格に準ずる信用度がある資格です。
福祉用具例
福祉用具専門相談員は、利用者やご家族と相談し、利用者の障害・要介護の程度・住宅の構造・環境に合わせた福祉用具を提案していきます。
介護を必要とする高齢者や障害を持つ方が、自宅で安心して暮らすことができるよう適切にアドバイスしていく重要な役割を持っています。
福祉用具専門相談員の仕事内容
福祉用具専門相談員は、主に福祉用具レンタル・販売店への勤務が一般的です。介護保険制度を適用した福祉用具レンタル・販売店は、2名以上の福祉用具専門相談員の設置が義務付けられています。
流れとしては、福祉用具を利用したい方に対し、ヒヤリング・住宅の確認して福祉用具サービス計画書を作成していきます。
福祉用具レンタル・販売の流れ | |
Step1 | 要介護認定や住宅環境などの情報収集・福祉用具選定 |
Step2 | 福祉用具サービス計画書作成 |
Step3 | 福祉用具設置・利用者へ取扱方法の説明 |
Step4 | モニタリング(実際に利用) |
福祉用具サービス計画書に同意後、実際に福祉用具を利用してモニタリングをしていきます。少なくとも1年に2回は利用者宅へ訪問を行い、福祉用具の利用状況を確認するのも福祉用具専門相談員の仕事です。
利用者の症状に変化がないかヒアリングを行い、症状に応じて別の福祉用具のレンタル・販売を提案することもあります。
利用者やご家族の声を引き出し、ニーズに合ったものを提案していくヒヤリング力が重要な仕事です。
福祉用具専門相談員は通信・オンラインでとれる?
福祉用具専門相談員の資格は、通信講座はありませんが、オンラインで取得することができます。
福祉用具専門相談員指定講習という講座を、オンライン又は通学で受講することが必須となります。50時間のカリキュラムとなっており、5〜7日間かけて学んできます。受講後に実施される検定試験に合格することで、相談員として働くことができます。
市販されているテキストなどで資格取得はできませんのでご注意ください。
通信とオンラインの違い
通信(講座):教材が到着してから学習を開始する講座です。DVDなどを視聴する授業もありますが、インターネットがなくても受講には困りません。
例:ユーキャンやキャリカレ等
オンライン(講座):インターネットで授業を視聴する講座です。パソコン以外にも、スマホやタブレットがあれば、いつ・どこでも学習を進めることができることがメリットです。
オンライン実施事業者 | ||
事業者名 | 講習日数 | 費用 |
お茶の水ケアサービス学院 | 6日間 | 45,000円(税込) |
キャリア教育プラザ | 7日間 | 51,700円(税込) |
未来ケアカレッジ | 7日間 | 37,950円(税込) |
オンラインであれば、全国どこからでも受講することができます。基本的にZOOMでの開催となりますので、ネット環境を整えて参加しましょう。
もちろん通学制も内容に変わりはありません。一緒に学ぶ仲間が近くにいたほうがモチベーションを保てる方には通学が向いています。
通学制の講習がどこで開催しているかは、各都道府県のホームページで確認することができます。講習の名称は、実施事業者によって異なる場合がありますのでご注意ください。
日程やご自身に合わせて、受講しやすいほうを探してみましょう!
介護福祉士・社会福祉士を取得している方は、福祉用具専門相談員として働くにあたり特別な手続きなく、講習を受けなくとも相談員として働くことができます。
介護福祉士・社会福祉士は国家資格となりますので、4年制大学・短大・専門学校などを卒業して国家試験を受験する必要があります。
福祉系大学などを卒業していない方は、指定講習で学ぶのが最短ルートです。
福祉用具専門相談員になるための費用
福祉用具専門相談員になるためには、指定講習のみの費用となります。実施している事業者によりますが、4〜6万円程度です。実施事業者によりますが、こちらの金額にテキスト代・検定試験代金も含まれていることが多いです。
福祉用具専門相談員指定講習の概要 | |
受講資格 | 不問 |
受講費用 | 4〜6万円程度 |
受講日数 | 5〜7日間 |
合否 | 講習終了後、検定試験合格で資格取得 |
福祉用具専門相談員の難易度
福祉用具専門相談員指定講習を受講後、検定試験があり合格すれば、すぐに相談員の求人へ応募することができます。検定試験の合格率は非公開となっていますが、福祉系の学校で学んだ経験がある方の合格率はほぼ100%といわれています。
合格者を選抜する試験というよりは、講習の理解度を確認する意味合いが強いものになっています。福祉系の学校で学んだことがない人でも、講習をしっかりと勉強していけば、合格は難しくないでしょう。
仮に不合格となってしまっても、再試験があるのでご安心ください。
福祉用具専門相談員指定講習の概要 | |
講習内容 |
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講習を終え、試験合格後は修了証明書を取得することができます。その後福祉用具専門相談員を募集している求人に応募し、内定をもらえれば晴れて福祉用具専門相談員として働くことができます。
まとめ
- 福祉用具専門相談員とは、高齢者や障害を持つ人、そのご家族に対して、適切な福祉用具の提供する民間資格
- 福祉用具専門相談員になるためには、福祉用具専門相談員指定講習を受講する
- 講習は、オンラインでも受講できる
- 費用は4〜6万円程度
- 難易度は低く、きちんと勉強していれば誰でも合格可能
福祉用具専門相談員は、講習を受講すれば誰でも取得することができます。福祉関連に興味がある方はもちろん、今後も需要ある資格をとって仕事をしていきたいという方にはぴったりの仕事です。
厚生労働省の資料によると、2014年には福祉用具の年間累計利用者数が389万人だったのが、2019年には約645万人と増加しており、今後も需要は伸びてくると考えられます。
まずはオンライン講習の資料請求、またはお住まいの都道府県ホームページから受けられる講習を探してみてはいかがでしょうか。