1990年には947件だった養護学校は、2019年時点で日本全国に1,146校あり、毎年徐々に増加していっています。昔は今ほど障害について認識がありませんでしたが、現在では社会の一員として働いている方も多くいらっしゃいます。
それに伴い教諭も需要があり、昨今注目されている職業です。
では、養護学校教諭になるにはどのような資格が必要なのか?また、気になる給与なども解説していきます!
Contents
養護学校教諭とは?
養護学校教諭とは、主に目や耳が不自由な子どもや、知的障害がある子どもたちのための養護学校や、小・中学校の特別支援学級などで教育を行う先生のことです。通常の学校の先生と同じく、地方公務員となります。
養護学校教諭は、障害がある子どもたちに対し、自立支援教育や通常の学校に準じた教育を行います。子ども1人ひとりの障害の程度に合わせた学習・支援計画を立て、社会的に自立できるように指導していきます。
個別の支援計画を立てることで、目標を明確にできることができます。またご両親や教員全員の共通認識となり、指導や支援の実践と客観的な評価や改善につながります。
支援計画表の作成例
計画表は日本全国共通ではなく、学校によってフォーマットに違いはありますが、子どもたちが将来自立できるよう作成されています。
支援計画表例
特別支援学校教諭との違い
特別支援学校とは、養護学校の現在の正式な呼び方です。昔、障害がある子どもが通う学校をそれぞれ盲・聾・養護学校と呼んでいましたが、2007年の法改正によりすべて特別支援学校という名称に変更されました。
1947年(昭和22年)に障害を持つ子どもの盲学校・聾学校・養護学校への就学の義務化されました。※教育基本法・学校教育法公布
しかし、重度の障害に対しては就学免除・就学猶予の措置がとられ、ほとんどの場合就学が許可されませんでした。
その後1979年(昭和54年)に重度の障害を持つ子どもも養護学校に入学できるようになり、2007年に特別支援学校へと名称を変更しています。
法改正で名称は変わっていますが、学校内での教育・支援に変わりはありません。
「養護教諭」という職業がありますが、「養護教諭」はいわゆる保健室の先生のことを指します。各学校の保健室に勤務し、生徒の健康などを司る仕事です。「養護学校教諭」とは異なりますのでご注意ください。
養護学校教諭になるには?
養護学校教諭になるには、通常の教員普通免許状・特別支援学校教諭免許状の2つが必要です。通常の教員普通免許状のみで、普通の小学校・中学校・高等学校に勤務は可能ですが、養護学校教諭はさらに特別支援学校教諭免許状が必須です。
通常の教員普通免許状
幼稚園、小学校、中学校、高等学校の教員免許です。中学校・高等学校の場合は、免許状は教科ごとに分かれています。正式名称は「教育職員免許状」と呼ばれており、免許状の下記の3種類あります。
教育職員免許状の種類
- 普通免許状
- 特別免許状
- 臨時免許状
養護学校教諭になるには「普通免許状」の取得が必要です。
- 普通免許状:教諭、養護教諭、栄養教諭の免許状で、全国の学校で勤務可能。
- 特別免許状:教諭の免許状で、例えば看護師であれば高等学校の教科「看護」の 特別免許状が取得可能。外国人の英会話学校講師であれば、中学校の教科「英語」の特別免許状の取得が可能。
- 臨時免許状:助教諭・養護助教諭の免許状で、普通免許状を有する者を採用することができない場合に限り、教育職員検定を経て取得可能。
特別支援学校教諭免許状
様々な障害についての基礎的な知識・理解、特定の障害についての専門性を持っている資格です。養護学校教諭になるためには、この免許状が必須になります。
特別支援学校教諭免許状にも種類があり、専修免許状・一種免許状・二種免許状の3種類です。3種類の免許のレベルは以下のようになります。
特別支援学校教諭免許状の免許の種類
- 専修免許:大学院卒と同等レベル
- 一種免許:大卒と同等レベル
- 二種免許:短大卒と同等レベル
どの免許状でも養護学校教諭として勤務できますが、一種免許の取得が一般的です。
二種免許状は短大卒レベルなので専修や一種より早く取得できますが、二種免許状で採用された場合、一種免許への昇格の努力する事が義務付けられています。また、管理職への昇格もできません。
後から再度勉強しなければならないので、可能であるなら専修免許状・一種免許状を取得することをオススメします。
ただ、少しでも早く養護学校教諭として働きたい!という事情があれば二種免許状でも働くことはできます。ご自身のライフプランを考えて免許状取得を目指しましょう。
免許取得方法
養護学校教諭になるには、通常の教員普通免許状と特別支援学校教諭免許状の2種類の免許状が必要です。
どちらも必要な単位を終え、免許資格取得後、勤務したい都道府県の採用試験に合格し免許状が発行され、初めて養護学校教諭として働くことができます。
通常の教員普通免許資格の取得方法
通常の教員普通免許状を取得するには、教員免許が取れる大学卒業、通信大学卒業の2つの方法があります。
教員普通免許資格の取得方法
- 教員課程がある四年制で必要な単位を取り卒業
- 教員課程がある通信制大学で必要な単位を取り卒業
四年制大学で教員免許を取得する一番メジャーな方法ですが、最低でも2〜4年かかるため、仕事を続けながら通うのは難しい方もいらっしゃるでしょう。
そんな方にオススメなのが通信制大学で、自宅にいながら学ぶことができます。大学により取得可能な免許は様々ですが、四年制大学卒業と同等の、幼稚園・小学校・中学校・高等学校の免許を取得できます。
しかし、通信大学でも教員免許を取得するには必ず教育実習があるので注意しましょう。教育実習は連続で2週間から4週間の期間参加する必要があります。
四年制大学・通信制大学ともに全国に学校はありますが、取りたい免許(小学校、中学校の数学、等)が取得できるかどうか、学費はいくらか、実習はどのくらいあるかを比較して探しましょう!
特別支援学校教諭免許資格の取得方法
特別支援学校教諭免許資格を取得するのも、特別支援学校教諭免許が取れる大学卒業、通信大学卒業の2つの方法があります。
特別支援学校教諭免許資格の取得方法
- 教員課程がある短期大学で必要な単位を取り卒業
- 教員課程がある通信制大学で必要な単位を取り卒業
すでに教員免許は持っているので特別支援学校教員免許だけ取得したい、という方は通信制の大学で取得するのがよいでしょう。
佛教大学(京都府)や明星大学(東京都)などでは、2つの免許資格が取ることができます。通信制大学は自宅にパソコンやタブレットがあれば学習することができますが、必ず教育実習があるのでその点は注意しましょう。
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養護学校教諭の給料・年収
晴れて養護学校教諭になれたとしても、気になるのは給料ですよね。厚生労働省の2021年度調査によると、養護学校教諭の平均年収は約488万円です。
平均年収 | 4,879,900円 | |
内月額給与 | 344,300円 | |
内年間ボーナス | 748,300円 | |
平均年齢 | 45.3歳 | |
平均勤続年数 | 11.9年 | |
平均残業時間 | 14時間/月 |
年代や家族構成などによって社会保険料や支払う税金の金額が異なるので、一概にはいえませんが、上記年収から月額手取りは約25~30万円、手取り平均ボーナスは約55~56万円となります。
養護学校教諭の初任給は21~24万円くらいですが、年齢・役職によってもちろん変わってきます。年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって年収も上がっています。
参考:【2022年版】特別支援学校教諭の年収・給料はどれくらい? 初任給やボーナス、統計データも解説
また、勤務する都道府県によっても差は少しあります。例えば東京都と地方を比べると東京都のほうが給与は高い傾向にあります。
給与がすべてではありませんが、お住まいの地域などの給与を参考にし、勤務したい学校を決めていきましょう。
まとめ
- 養護学校教諭とは、障害がある子どもたちのための養護学校や、小・中学校の特別支援学級などで教育を行う先生
- 養護学校教諭は、現在特別支援学校教諭と呼ばれている
- 養護学校教諭になるには、通常の教員普通免許状と特別支援学校教諭免許状が必要
- 免許状は四年制大学・通信制大学で学んだ後、勤務したいと都道府県の採用試験に合格すれば取得できる
- 養護学校教諭の平均年収は約488万円
現代は以前よりも障害に対しての認識が広くなり、養護学校教諭の需要も高まっています。すぐに養護学校教諭として働けるわけではありませんが、地方公務員として長く勤めることができます。
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