j検はこれから社会に出ていく学生を対象とした、情報に関する検定試験です。
3つの分野と細かなレベル分けにより、パソコン初心者からシステムエンジニア、プログラマなどの専門分野まで対応しています。
ここではj検の試験内容から、合格率と難易度、効果的な勉強方法までご紹介していきます。
Contents
j検とは?
j検は、パソコンやインターネットなどの情報に関するスキルを客観的に評価する資格として、一般社団法人職業教育・キャリア教育財団が主催する民間資格です。
2006年までは各省庁や大臣が認めた公的資格として位置付けられていましたが、公的資格という制度自体が廃止となり、その後民間資格となりました。
公的資格だった頃は社会人も多く受験していたj検ですが、受験者の減少と国家資格である「基本情報技術者」との差別化を図るため、現在は高校生や大学生にターゲットを移しています。
j検は商業科や情報科の学生が情報検定の入門として選ぶ際におすすめの資格です。
j検の検定名の移り変わり
j検は正式名称を変えながら現在まで続いてきた歴史ある検定です。
その移り変わりは以下となります。
- 情報処理能力認定試験(1988年〜1993年)
- 情報処理活用能力検定(1994年〜2006年)
- 情報検定(2006年〜現在)
上記の中で公的資格だったのは②の情報処理活用能力検定(1994年〜2006年)の間です。
履歴書に書く際は書き方に違いがありますので、次で説明していきます。
j検は履歴書に書ける?
j検は現在では大学入試や就職、転職などで有利になることはほとんどないと言えます。
履歴書に書く際は正式名称の移り変わりによって、文部科学省後援か認定かの違いが出てきます。
資格主催団体から申請があったもので、その内容が後援すべきと認められた場合に名義を使用することができるというものです。実際は合格者への優遇や支援金などもなく、名義を借りる程度のものです。
「民間技能審査事業認定制度」に基づき、大臣が認めた認定資格です。
これから受験する方は文部科学省後援となりますが、うっかり書き間違えることがないよう、期間によって違うことを把握しておいてください。
履歴書の書き方は以下を参考にしましょう。
「◯年◯月 文部科学省後援 情報検定 △△試験☆級合格」
- 情報処理能力認定試験(1988年〜1993年)→この期間は文部科学省後援です。
- 情報処理活用能力検定(1994年〜2006年)→この期間だけ文部科学省認定となります。
- 情報検定(2006年〜現在)→現在は文部科学省後援です。
また情報システム試験にて技術認定を得た場合は以下のように記載します。
「◯年◯月 文部科学省後援 情報検定 情報システム試験システムエンジニア 認定」
級やスキルの認定と技術認定はどちらも併記することが可能です。
上記で「△△試験☆級合格」と記載しましたが、j検は1種類ではなく、試験の分野と級が細かく設定されていますので、次の章で説明していきます。
j検の3つの試験分野とレベル分け
j検の資格は1種類しかないと思う人もいるかもしれませんが、実際は3つの分野に分かれ、それぞれのレベル分けも含めると8種類あります。
「j検を持っている」と言っても進学や就職などでは不十分です。
「j検 〇〇試験 〇〇級を持っている」と言って初めて相手に伝わります。
では、j検の種類について詳しく説明していきたいと思います。
j検は情報を活用した「創る・使う・伝える」をテーマに3つ分野に分かれています。それぞれの分野でレベルやスキル分けがあり、受験者が学習範囲を選べるように設定されています。
3つの分野とは、「情報活用試験」「情報システム試験」「情報デザイン試験」です。
それぞれのレベル・スキル分けは以下となります。
- 情報活用試験→1級、2級、3級
- 情報システム試験→基本スキル、プログラミングスキル、システムデザインスキル
- 情報デザイン試験→上級、初級
情報活用試験の難易度は、3級が最も易しく、1級が最も難しくなっています。
情報システム試験のスキル分けは難易度ではなく、専門分野によって分けられています。
さらに情報システム試験に関しては、スキル分けの中で以下2つに合格すると技術認定されるシステムがあります。
- プログラマ認定:「基本スキル」と「プログラミングスキル」に合格
- システムエンジニア認定:「基本スキル」と「システムデザインスキル」に合格
この2つの認定は履歴書にも記載できますので取得をおすすめします。
j検はどの分野、どのレベル・スキルから受けてもよいことになっていますので、身につけたいレベルやスキルの分野を選ぶことができます。
j検の試験内容とレベル・スキルの特徴
j検には3つの試験分野があり、それぞれにレベルやスキルが分かれているとお伝えしました。
ここではそれぞれの試験内容から、その特徴をみていきます。
情報活用試験のレベル別内容
情報活用試験は、j検のテーマである「創る・使う・伝える」の「使う」試験にあたります。
基本的なパソコンスキルから情報を活用する能力を図る試験です。
1級・2級・3級ともに選択式問題で、試験時間は1級と2級が60分、3級が40分となります。
それぞれの級の試験内容はこちらです。
情報活用試験の3級試験内容
- インターネットの基礎知識
- インターネットの利用方法
- 情報機器の基本操作
- 情報社会とコンピューター
- 情報表現と処理手順
- 情報モラル
3級ではパソコンやインターネットの使い方の基礎を学びます。パソコン入門試験といえますが、すべての情報分野の基礎ともなる内容です。
情報活用試験の2級試験内容
- パソコンの基礎
- インターネットの基礎
- アプリケーションソフトの使用
- 経営戦略とシステム戦略
- プロジェクトマネジメント
- データ構造と情報表現
- 問題解決処理手順
2級はパソコンの基本的な知識から、社会に出たときに活用できるマネジメントや経営学までを学びます。
情報活用試験の1級試験内容
- 情報の利用
- パソコンによるシステムネットワークの利用
- 情報社会への対応
- セキュリティについて
- 表計算ソフトを利用した問題解決
1級はより実践を意識した内容となっており、表計算ソフトの活用法やセキュリティについての分野があります。
情報システム試験のスキル別内容
情報システム試験は、j検のテーマである「創る・使う・伝える」の「創る」にあたる試験です。
プログラマやエンジニアなど技術者を養成するために設けられました。
3つのスキルはすべて選択式問題で、試験時間は基本スキルが60分、プログラミングスキル・システムデザインスキルは90分です。
それぞれのスキル内容はこちらです。
基本スキル
- プロジェクトマネジメント
- データ構造、集合と論理
- CPUアーキテクチャ、補助記憶装置
- システム構成
基本スキルでは、プログラミングやデザインに関する基本的な情報の構造を学んでいきます。
プログラミングスキル
- データ構造とアルゴリズム
- 擬似言語
- プログラミングまたは表計算ソフトを使用した問題解決
プログラミングは専門的な言語から問題解決のためのプログラミングを学びます。
システムデザインスキル
- システム開発
- ネットワーク技術
- データベース技術
- 経営戦略とシステム戦略
- セキュリティと標準
システムデザインスキルは、システム開発や経営戦略など実践的な内容で、社会に出てからも武器となるスキルを身につけることができます。
情報デザイン試験の内容
情報デザイン試験は、j検のテーマである「創る・使う・伝える」の「伝える」にあたる試験です。
情報収集から分析、発想、企画、そして表現まで、情報を伝えるための手法を学んでいきます。
初級と上級に分かれており、どちらも選択式(4択)で試験時間は60分です。
試験内容はこちらになります。
初級
- 情報デザインの考え方
- 情報の収集と整理
- 問題解決と発想
- 情報の構造化と表現
- 情報の伝達と評価
初級では、情報デザインの基礎的な考え方から問題解決を行うための知識を身につけていきます。
上級
- 情報デザインの考え方
- 情報の収集と整理
- 問題解決と発想
- 情報の構造化と表現
- 情報の伝達と評
上級では実践的な場面を想定し、情報を表現したり不測の事態にも対応できるようなスキルを学んでいきます。
j検の合格率と合格基準
j検の合格率は、分野や級・スキルによって異なりますが、およそ50%前後となっています。
ここでは合格率が公開されている情報活用試験と、情報システム試験について、受験者数から受験率、合格率までを見ていきます。
- 情報活用試験(令和3年12月時点)出願団体数22、会場数22
出願者 | 受験者 | 受験率 | 合格者 | 合格率 | |
1級 | 1,066 | 857 | 80.4% | 533 | 62.2% |
2級 | 1,310 | 1,090 | 83.2% | 487 | 44.7% |
3級 | 431 | 381 | 88.4% | 233 | 61.2% |
情報活用試験は、情報システム試験に比べると合格率は高くなっていますが、50%を下回るときもあるため、事前の学習が重要といえます。
- 情報システム試験(令和4年2月時点)出願団体数14、会場14
出願者 | 受験者 | 受験率 | 合格者 | 合格率 | |
基本スキル | 1,779 | 1,270 | 71.4% | 402 | 31.7% |
プログラミングスキル | 1,325 | 963 | 72.7% | 463 | 48.1% |
システムデザインスキル | 869 | 639 | 73.5% | 191 | 29.9% |
情報システム試験はすべてのスキルにおいて低い合格率となっています。
学生に難易度が合わせられているとはいえ、技術者を育てることをテーマにした分野ですので、より専門性な知識と試験の対策が必要になります。
3つの分野の合格基準は?
j検の3つの分野の合格基準はこちらです。
情報活用試験
- 1級・2級:100点中65点以上
- 3級:100点中70点以上
情報システム試験
- 基本スキル・プログラミングスキル・システムデザインスキル:100点中65点以上
情報デザイン試験
- 初級・上級:100点中65点以上
どれも100点満点中65点か70点以上となっています。これは一般的にみると高い合格基準ではありません。
過去問を何度も解き、合格基準以上の点数を安定して取れるようにすれば合格できる試験です。
j検に有効な勉強方法とテキスト
j検は難易度が易しく設定されていますが、合格率は非常に厳しいものとなっています。
まずは参考書をよく読み、練習問題や過去問で知識を定着させていきましょう。
知識が定着してきたら、合格基準を意識しながら過去問を繰り返し解きます。j検のHPには無料のサンプル問題や過去問が掲載されていますので、それで自信をつけてから試験に挑みましょう。
また、パソコンに慣れていない初心者の方は、パソコンの専門用語や基本的な操作から覚える必要があります。
専門用語や使い方がわからなければ実践でも役に立ちませんので、まずは一からめんどくさがらず覚えていきましょう。
テキストは、こちらの公式テキストをおすすめします。
- 情報活用試験1級・2級対策テキスト
税込2,200円
情報活用試験1級・2級対策テキストは、各講義が見開きで収められていてとても見やすいです。後半は過去問が収録されています。
過去問の解答や解説は別冊になるので、自身の回答と照らし合わせながら答え合わせをすることができます。
- 情報活用試験3級対策テキスト
1,650円(税込)
3級テキストは上記の1級・2級と同じ構成になっています。
- 情報システム試験対策テキスト
税込2,860円
情報システム試験の公式テキストは、「講義→確認問題→過去問題」とステップ式に学べる内容となっています。
社会人になってから役立つ「ストラテジ・マネジメント」についても解説しています。
- 情報デザイン試験対策テキスト
税込2,420円
情報デザインの公式テキストは、講義から演習問題の構成になっており、用語集やコラムなど興味をそそるような内容の工夫がされています。
j検に通信講座はある?
j検に専門の通信講座というものはありません。
しかし独学だけではうまくいかない人や問題が解決できない人は、パソコン教室の入門講座を受講するのも一つの手です。
特にパソコンを普段自由に触れない環境の場合は、実際に使いながら教えてもらえる指導講座が効率的といえます。
わからない箇所は直接質問もでき、個々のペースで学習を進めてくれるので、パソコンに慣れていない方はスムーズに学習を進められます。
j検の申し込みから合格発表まで
j検の申し込みはペーパー方式とCBT方式がありますが、現在はCBT方式が主流となっています。
申し込み期限は個人の場合、試験日の3週間前までです。団体は2週間前までとなります。
試験の申し込みは自宅のパソコンからサイトにアクセスして行うことができます。
申し込みから合格発表までの流れはこちらです。
- 申し込み・受験料支払い
- 受験
- 合格発表
それぞれについては以下でご説明していきます。
①申し込み・受験料支払い
j検の申し込みと支払いには、受験受付・決済サービスの「MASTERCBT PLUS」を利用します。
受験料の支払いはコンビニ払いとクレジットカード払いが選択可能です。
試験会場は全国にある会場から最寄りの会場を選ぶことができます。
団体受験の方のみの特典ですが、最大8科目まで併願できるお得なプランもあります。不合格だった場合や、欠席により試験を受けられなかった場合でも、1年間何度でも無料で受験できる安心のプランです。
次で具体的な金額をお伝えしていきます。
j検の受験料
j検の受験料には、各試験の受験料に加え、施設利用料として700円が別にかかります。
各分野の受験料はこちらです。
情報システム試験の受験料
- 3級:3,000円
- 2級:4,000円
- 1級:4,500円
情報活用試験の受験料
- 基本スキル:3,500円
- プログラミングスキル:3,000円
- システムデザイン:3,000円
情報デザイン試験の受験料
- 初級:4,000円
- 上級:4,500円
j検の受験料は、分野によって多少違うもののリーズナブルと言えます。
②受験
受験は申し込みの際に選択した会場で行います。
試験開始時間は各会場で事前に確認してください。
受験番号や身分証明書など忘れ物がないようにしましょう。
③合格発表
合格発表は試験終了後、そのままパソコンの画面に表示されます。
受験後はj検の公式HPより試験の結果を見ることもできます。
それには受験票に記載の「生年月日」と「検索番号」が必要です。
またデジタル合格通知、デジタル合格証・認定証は無料で交付されます。
まとめ
j検は、大学進学を目指す高校生やこれから社会に出ていく大学生にぴったりな情報検定の入門試験です。
歴史ある資格として、コンピュータや情報分野の知識を高めるのに適しています。
ここでお伝えしたのは以下の内容です。
- j検は公的資格から民間資格となった
- j検は3つの分野に分かれ、その中でもレベル・スキル分けがされている
- j検の履歴書の書き方
- j検の3つの分野の試験内容
- j検の合格率と合格基準
- j検の勉強方法とテキスト
- j検の申し込みから合格発表まで
社会に出てから情報やIT分野で活躍したい方はぜひ資格取得を目指してください。
未来を担う若いみなさんが挑戦するのにふさわしい資格といえるでしょう。