今回、以下の内容を説明します。
- 日商PC検定の特徴
- 受験資格はあるの?
- 試験内容
- 合格率
- 難易度
- 独学で取得できるの?
- 勉強時間
- 履歴書に書ける?
Contents
日商PC検定とは?
日商PC検定は、日本商工会議所が実施する「ワードやエクセルができる人」を目指すためのパソコン検定試験です。
国家資格ではなく、公的資格※です。
※国家資格と民間資格の中間に位置付けられる資格であり、国が認定した資格なので社会的信用が高い。
平成18年(2006)年4月からはじまりました。
「日本語文書処理技能検定(ワープロ検定)試験」と「ビジネスコンピューティング検定試験」を進化・統合したものです。
両検定試験あわせて約380万人の受験実績があります。
企業からの高い信頼・評価を継承したものとして、今後も企業ニーズに十分応えられる内容となっております。
資格取得のメリット
日商PC検定を取得するとメリットは主に3つあります。
- 仕事力がアップ
- 受験・就職・転職に役立つ
- デジタル仕事術がアップ
仕事力がアップ
仕事中にパソコンを使用する機会が多い現代において、ビジネス文書・資料を作成できる能力は欠かせません。
パソコンやネットワークを効果的・効率的に利用し、活用できる能力を備えていることが重要です。
学習することで、以下の能力が身につきます。
- 短時間で適切なビジネス文書を作成
- 分かりやすく効果的なプレゼン資料の作成
- 業務データの様々な角度からの分析
受験・就職・転職に役立つ
※資格を取得すると、大学の科目を履修したといなし、該当科目を受講していなくても、単位を認定する制度。
企業実務に直結した試験内容になっているため、学習を通じて即戦力となるビジネススキルが得られます。
デジタル仕事術がアップ
現代は、パソコンとネットワークによる仕事が一般的です。
デジタル仕事術とは、パソコン、タブレッド、スマートフォンを多用する仕事の仕方のことをいいます。
これからは、電子データを中心に仕事を進める新たな仕事のスタイルや技術を身に着けることが重要になっています。
日商PC検定試験では、デジタル仕事術の習得やスキルアップが目指せます。
わたしも受験できますか?
このあと日商PC検定について詳しく説明しますね。
日商PC検定の受験資格・試験日・試験会場・について
日商PC検定には、受験資格はありません。
また、何級からでも受験可能です。
試験日
基礎級 Basic、3級、2級は、随時試験可能です。
各試験会場がそれぞれ設定して、試験を実施しています。
そのため、受験チャンスが多いです。
ただし、1級のみ、2月と10月にあります。
試験会場
各地の商工会議所、パソコン教室、教育機関、職業訓練校など、全国約2,000か所にあります。
いずれもネット試験です。
日商PC検定の特徴がわかりました。
日商PC検定は、3分野あることをご存知ですか?
このあと説明していきます。
日商PC検定は3分野
日商PC検定は、以下の3分野があります。
- 文書作成:Microsoft® Word®を活用し、ビジネス文書の作成、取り扱いができるかを問う試験。
- データ活用:Microsoft® Excel®を活用し、表やグラフの作成、業務データの活用、適格なデータ分析、効果的な資料作成などができるかを問う試験。
- プレゼン資料作成:Microsoft® PowerPoint®を活用し、目的に応じた適切で分かりやすいプレゼン資料を作成できるかを問う試験。
日商PC検定(文書作成)
日商PC検定(文書作成)は、基礎級 basic、3級、2級、1級があります。
各級のレベルは以下のとおりです。
基礎級 Basic | Microsoft® Word®の基本的な操作スキルがあり、企業業務に対応できる。 |
---|---|
3級 | 指示に従って、Microsoft® Word®のビジネス文書のひな型や既存文書を用いて、正確かつ迅速にビジネス文書を作成することができる。 |
2級 | 与えられた情報を整理・分析し、参考となる文書を選択・利用して、状況に応じた適切なビジネス書や資料等を作成することができる。 |
1級 | 必要な情報を入手し、業務の目的に応じた最も適切で説得力のあるビジネス文書や資料等を作成することができる。 |
日商PC検定(データ活用)
日商PC検定(データ活用)は、基礎級 basic、3級、2級、1級があります。
各級のレベルは以下のとおりです。
基礎級 Basic | Microsoft® Excel®の基本的な操作スキルがあり、企業業務に対応することができる。 |
---|---|
3級 | Microsoft® Excel®を用い、指示に従い性格かつ迅速に業務データベースを作成し、集計・分析・並べ替え・計算・グラフ作成などを行うことができる。 |
2級 | Microsoft® Excel®を用い、業務に関する最適なデータベースを作成するとともに、適切な方法で分析し、表やグラフを駆使して業務報告やレポート等を作成できる。 |
1級 | 自ら課題やテーマを設定し、業務データベースをあらゆる手法を駆使して分析するとともに、適切で説得力のある業務報告やレポート資料等を作成し、問題化帰結柵や今後の戦略・方針等を立案することができる。 |
日商PC検定(プレゼン資料作成)
日商PC検定(プレゼン資料作成)は、3級、2級、1級があります。
各級のレベルは以下のとおりです。
3級 | 指示に従い、Microsoft® PowerPoint®を用いてプレゼン資料のひな型や既存の資料を用いて、正確かつ迅速にプレゼン資料を作成することができる。 |
---|---|
2級 | 与えられた情報を整理・分析し、図解技術やレイアウト技術、カラー表現技術などを用いて、適切でわかりやすいプレゼン資料を作成することができる。 |
1級 | 与えられた情報を整理・分析するとともに、必要に応じて情報を入手し、明快で説得力のあるプレゼン資料を作成することができる。 |
すべての分野において、知識科目と実技科目があります。
このあと、詳しく説明します。
日商PC検定の試験内容
すべての分野において、知識問題と実技問題があります。
実施試験 | 合格基準 | 受験料 | 試験時間 |
日商PC検定 文書作成 ベーシック |
正解率70%以上 | 4,200円 | 実技問題:30分 |
日商PC検定 文書作成 3級 | 5,240円 | 知識問題:15分 + 実技問題:30分 | |
日商PC検定 文書作成 2級 | 7,330円 | 知識問題:15分 + 実技問題:40分 | |
日商PC検定 文書作成 1級 | 10,480円 | 知識問題(論述式):30分+ 実技問題:60分 | |
日商PC検定 データ活用 ベーシック |
正解率70%以上 | 4,200円 | 実技問題:30分 |
日商PC検定 データ活用 3級 | 5,240円 | 知識問題:15分 + 実技問題:30分 | |
日商PC検定 データ活用 2級 | 7,330円 | 知識問題:15分 + 実技問題:40分 | |
日商PC検定 データ活用 1級 | 10,480円 | 知識問題(論述式):30分+ 実技問題:60分 | |
日商PC検定 プレゼン資料作成 3級 |
正解率70%以上 | 5,240円 | 知識問題:15分 + 実技問題:30分 |
日商PC検定 プレゼン資料作成 2級 |
7,330円 | 知識問題:15分 + 実技問題:40分 | |
日商PC検定 プレゼン資料作成 1級 |
10,480円 | 知識問題(論述式):30分 + 実技問題:60分 |
知識問題
知識問題は以下の問題が出題されます。
- 各分野の共通問題:ネットワークに関する基礎知識など
- 各分野ごとの専門部分
これらの内容について詳しく説明していきます。
1. 各分野の共通問題
共通問題は、知識問題のような専門的な問題ではなく、幅広い非知識が求められます。
以下の4つの共通問題が出題されます。
- ネット社会の環境の変化
- デジタル仕事術
- セキュリティやコンプライアンス
- 電子メール
問題は、公式テキスト『ネット社会のデジタル仕事術』から出題されます。
第1章 動き出したネット社会とその特徴
1 目に見えないネット社会とは
2 ビジネス環境の変化とは
3 行政の電子化とマイナンバー
4 紙から電子データ(デジタル)への変化第 2 章 仕事を大きく変えるデジタル5大パワー
1 情報発信力
2 情報収集力
3 情報伝達力
4 コスト対応力
5 電子商取引力第3章 身の回りのデジタル仕事術あれこれ
1 デジタル情報の整理方法
2 予定表と電子メールの管理
3 名刺整理とグループ住所録
4 さまざまな電子化資料の整理方法
5 共同作業のグループ仕事術第 4 章 デジタル仕事術10のポイント
1 紙情報とデジタル情報の違い
2 人が見る情報とプログラムが読むデータがある
3 データの階層構造とアウトライン
4 情報の同時共有と同時並行処理とは
5 データのズームとドリルダウン
6 データの一元管理と同期の違いとは
7 発生時点入力の重要性とポイント
8 データ活用を考えて利用するソフトを選ぶ
9 データは最小単位で蓄積・保存しておく
10 デジタル機器の多様化とネット社会の仕事のやり方第 5 章 デジタルデータの連携
1 データ活用の意味
2 ソフトウェア間の共通操作を理解する
3 ソフトウェア間のデータ連携
4 XML データとその活用
5 デジタルデータの保護第 6 章 覚えておきたい情報セキュリティとコンプライアンス
1 電子メールについて
2 ホームページについて
3 電子商取引について
4 インターネットの活用について引用:日本商工会議所著『ネット社会のデジタル仕事術 日商PC検定 知識科目公式テキスト』https://www.kentei.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2016/06/contents_new.pdf
2級、3級では、全30問中半分以上が共通範囲となります。
1級では、2問中1問が、共通範囲から出題されます。
2. 各分野の専門分野
専門分野はそれぞれの分野に特化した内容となります。
各分野(文書作成、データ活用、プレゼン資料作成)によって内容が異なります。
文書作成 |
|
データ活用 |
|
プレゼン資料作成 |
|
実技問題
各級の実技問題は以下のとおりです。
3級
従業員としてのスキルが求められます。
文書作成 |
|
データ活用 |
|
プレゼン資料作成 |
|
2級
部門責任者としてのスキルが求められます。
文書作成 |
|
データ活用 |
|
プレゼン資料作成 |
|
1級
1級は、2級・3級を超えた高度かつ専門的な知識やスキルを測るものではないですが、経営者の視点でみた文書作成、データ活用、プレゼン資料作成が求められます。
文書作成 |
|
データ活用 |
|
プレゼン資料作成 |
|
日商PC検定は3分野あり、基礎級Basicがあることがわかりました。
自身の仕事で必要となる分野を、選んで取得するのがよいと思います。
次に合格率と難易度を見ていきます。
日商PC検定の合格率と難易度
各級の受検者数・合格者数・合格率は以下の通りです。
日商PC(文章作成・データ活用・プレゼン資料作成)合計
(2021年5月6日現在)
級 受験者数 合格者数 合格率 1級 44名 16名 36.4% 2級 6,790名 4,589名 67.6% 3級 19,331名 15,922名 82.4% 基礎級 Basic 7977名 7,275名 91.2% 合計 34,142名 27,802PC ― ※「基礎級 Basic」は「文書作成」と「データ活用」のみ。
引用:商工会議所の検定試験 https://www.kentei.ne.jp/33924
2020年度の日商検定の合格率は以下の通りです。
- 1級:36.4%
- 2級:67.6%
- 3級:82.4%
- 基礎級 Basic:91.2%
難易度はやさしい~やや難しいといえます。
各級の難易度は以下の通りです。
- 1級:標準~やや難しい
- 2級:易しい~標準
- 3級:やや易しい
- 基礎級 Basic:易しい
ここまで、日商PC検定について説明しました。難関資格ではないことがわかりました。
次に、独学で取得できるのかを説明します。
日商検定は独学で取得可能
独学で資格を取得するメリット
独学で取得するメリットを3つ紹介します。
独学で取得するメリット
- 費用を安く抑えられる
- 好きな時間や場所で勉強できる
- 自分のペースで勉強できる
1. 費用を安く抑えられる
通信講座や教室への通学の場合、3~5万円程度かかります。
2. 好きな時間や場所で勉強できる
社会人などは、早朝や夜間に勉強するかたもいるかもしれません。
勉強場所も自由なので、カフェででも勉強が可能です。
3. 自分のペースで勉強できる
ベーシック、3級、2級はいつでも受験が可能たため、受験日も自由に設定できます。
しかし、「いつでも受験できるから」と先延ばしにしていると、いつまでも受験できないため、勉強計画を事前に立てておくことが重要です。
独学で資格を取得するデメリット
独学で取得するデメリットを3つ紹介します。
独学で取得するデメリット
- モチベーションの維持が難しい。
- わからない点を自分で解決しなければならない。
- 目標が立てにくい。
1. モチベーションの維持が難しい
日商PC検定に限らず、独学は孤独との戦いです。
通学の場合、誰かが勉強しているのは、非常にいい刺激になります。
そのため、モチベーションの維持が難しいです。
対策として、以下があげられます。
- 目標を低く設定する。
- 3級から受験し、合格したら2級を受験する。
- 勉強時間や勉強内容をカレンダーや手帳に記録する。
2. わからない点は自分で解決しなければならない
独学で一番苦労する点です。
質問サイトを活用することで、なんとかなります。
それでもわからない場合があります。
対策として、独学の前に、『Udemy』などでワードやエクセルの基本学習をすることで、わからない点が少なくなります。
3. 目標が立てにくい
基礎級 Basic、3級、2級は随時受験ができるため、明確な合格までの道筋がありません。
裏を返すと、合格までの道筋に正解はありません。
自分の無理のない範囲で、計画を立てることができます。
独学で勉強をするときは、まずは目標をを決めて、自分の生活に組み込んでいけるように勉強を進めていくとよいと思います。
次に、独学の勉強方法について説明します。
日商PC検定の独学の勉強方法
おすすめの独学の勉強方法は以下のとおりです。
- 知識科目の共通科目『ネット社会のデジタル仕事術』を無料ダウンロートする。
- 知識科目の試験範囲をざっと読む
- 実技科目1~5章を読んだ後に、FOM出版の知識科目の問題集を解く
- FOM出版の『書籍学習用データ』から練習用ファイルをダウンロードする
- FOM出版の実技科目の問題集を解く
- 実技科目の模擬問題を解く
- 最初は試験時間を気にしない
- 必ず30分、時間を測りながら模試を解く
- わかるところから解く
- わからないところは、テキストを振り返ってから解答を見る
- 繰り返し問題を解く
「やり方」を覚えることが大切です。
おすすめのテキスト
おすすめのテキストは、FOM出版の公式テキスト&問題集です。
実技試験は、サンプル問題のみ公表されているため、対策が難しいといえます。
勉強時間
各級の勉強時間は以下のとおりです。
- 基礎級 Basic:30時間程度
- 3級:30時間程度
- 2級:パソコンスキルのある方は30~60時間程度、スキルのない方は60~90時間程度
日商C検定は履歴書に書ける
一度資格を取得すると、Officeのバージョンが変わっても資格は有効です。
ずっと自分のスキルを証明できす。
そのため、履歴書にも記載ができます。
履歴書に書く場合は以下のように記載します。
日商PC検定 データ活用〇級 合格
日商PC検定(文書作成〇級)合格
まとめ
日商PC検定について、まとめます。
- 日商PC検定は、公的資格。
- 受験資格はなく、誰でも何級からでも受験できる。
- 試験の種類は、文章作成、データ活用、プレゼン資料作成の3種類。
- 独学で取得できる。
- 勉強時間は、最低30時間。
- 合格率は、やや高い。1級:36.4%、2級:67.6%、3級:82.4%、基礎級 Basic:91.2%。
- 難易度はやさしい~やや難しい。
- 履歴書に書ける。
みなさんも日商PC検定に挑戦してみてはいかがでしょうか?