今回は貿易関係の仕事でもコンサルティング能力を証明することができ、将来的には年収1,000万円以上を狙えたり独立開業することもできる権威性の高い貿易アドバイザー資格についてお話しさせていただきます。
今回の記事ではこのような内容を分かりやすくまとめました。
- 貿易アドバイザーってどんな資格?
- 貿易アドバイザーはどんな仕事をするの?
- 貿易アドバイザーになると年収はどのくらいもらえるの?
- 試験の難易度は?
- 独学での勉強方法は?
今回の記事でこれらのことがバッチリと分かりますので、ぜひ最後までお読みいただき資格を取るかの参考にしてもらえると嬉しいです。
Contents
貿易アドバイザーの資格とは
貿易アドバイザーとは、実務経験とノウハウを持つ人材を育成するためにジェトロ(日本貿易振興機構)が1994年から貿易取引支援のために始めた民間資格です。
しかし2006年12月に国の歳出の削減を図る観点から2007年をもってジェトロが認定していた貿易アドバイザーの資格は廃止され、2008年よりAIBA認定貿易アドバイザー試験として名称が変更されました。
貿易アドバイザーの資格を取得することによって証明できることは、貿易に関する経験や知識、ノウハウをもっておりそれを用いてアドバイスやコンサルティングができることを証明する資格。
と、このような権威性のある資格と言えます。海外との貿易が盛んな現代では貿易のアドバイスができる人材はとても貴重です。
このような貿易コンサルティング能力を認定している資格は、2022年現在日本には貿易アドバイザーの資格しかありません。
貿易アドバイザーの仕事内容
企業が初めて海外市場に乗り出そうとする場合、今までとは違う様々なリスクに向き合う必要があります。
例えば以下のようなリスクがあります。
- 貿易先との商談が通訳や翻訳できず時間がかかってしまう
- 進出先の国外の法規制を調査しきれず法を犯してしまう
- 海外市場の調査が不十分により想定を上回る出費が発生してしまう
- 現地調査に行っても現地の知識がなく需要の少ないエリアで出店してしまう
このようなことが起こる可能性が十分に考えられます。
こういった日本とは違う環境への進出で起こりうるリスクを減らすために貿易アドバイザーは活躍し、海外進出を計画している企業に対する的確なコンサルティングを行うことが主な仕事内容です。
先程のリスクも貿易アドバイザーを通した場合事前に回避することができるので、商談から実際の出店までスムーズに行うことができ、結果的に時間も費用もリスクも減らすことができるでしょう。
上記で発生してしまったトラブルも貿易アドバイザーを通した場合は以下のように変わってきます。
- 貿易先とスムーズにやりとりできない⇨翻訳した内容をスムーズにやりとりできる
- 進出先の国外の法を犯してしまう⇨事前に調査し法律違反を回避できる
- 海外市場の調査不十分で想定外の出費が発生⇨事前調査により費用対効果を明確にできる
- 現地の知識がなく需要の少ないエリアに出店⇨調査に同行し、需要に合わせた場所に出店
このようにリスクを未然に減らすことができるので、海外への進出を計画している企業に対して様々な役に立つことができる仕事と言えます。
これだけビジネスに直結する貿易アドバイザーとして仕事を続けるには依頼された進出先のビジネス言語やビジネスレターの作成、法改正や最新の市場動向など常に追い続けなければならないため、相当な努力が必要です。
それでは次に年収に関してお話しさせていただきます。
貿易アドバイザーの年収
貿易アドバイザーの資格は3年程度の貿易業務を経験していなければ受験できないため、貿易に関して未経験の場合はまず貿易関係の仕事に就くことから始めなければなりません。
貿易アドバイザーの資格を取得した後は800万円〜1500万円くらいの年収となり、大幅に年収を増やすことも可能です。
もちろん資格を取得したからといって無条件で年収が増加するわけではなく、資格を取得するまでにマネジメントや実務に関することなど多くの経験を積む必要があります。
貿易アドバイザーの資格取得のために得た知識なども活かして活躍できなければなりません。
求人サイトの応募資格の欄を確認すると、高収入の求人は5年〜10年ほど貿易業界での経験を積んでいる必要があることが多いので、下積み時代はとても長いものになるでしょう。
貿易アドバイザーの資格を取得するメリット
2022年現在グローバル化が進展しており、国際業務に精通した貿易アドバイザーはどんどん需要が高まっています。
貿易アドバイザーの資格は様々な公的機関でも認知されているため、多くのコンサルティング業務に携わってきました。
- 貿易実務
- 貿易英語
- マーケティング
このようなことに精通していることを貿易アドバイザーの資格を通して認識されるので、貿易コンサルティング業務を行う方にとってとてもメリットの大きい資格です。
さらに、貿易アドバイザーの認定試験に合格した方だけが入会できる貿易アドバイザー協会を活用することで、
- 最新の国際取引に関する情報が得られる
- 国際取引に関する疑問点などがあれば、会員同士で解決できる
- 毎月研修会が開催され、テーマ別に勉強する機会が得られる
- 貿易コンサルティングに関する企業などからの案件を紹介してもらえる
貿易アドバイザーとして活躍し続けるには日々変わる世界情勢や法令に関して常に追いかけ続けなければならいため、勉強することが大切です。
その点を貿易アドバイザー協会に入会すれば最新情報を入手でき、勉強会で知識を深めることができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
貿易アドバイザーとして独立できる?
先程貿易アドバイザーの資格取得のメリットでも軽く触れましたが、貿易アドバイザーの資格を取得すれば独立開業もできます。
ですが貿易アドバイザーの資格を取得したからすぐに独立ができるわけではありません。
そのためまずは貿易アドバイザーとしての経験を積む必要があります。まずは企業内で貿易アドバイザーとして活躍し、貿易アドバイザー協会で勉強をしながら経験と知識を積んでいくことが重要です。
その後ノウハウを自分のものにして独立開業すれば事業に失敗するリスクも減らせてスムーズに独立することができるでしょう。
貿易アドバイザーとして経験を積むには「貿易事務」として働き経験を積むと良いです。なぜなら貿易アドバイザーにになるために必要となる業務を多数経験できるからです。
貿易事務は輸出や輸入に関わっている会社には欠かせない業務のため、一言に「貿易事務」と言っても内容には様々な形がありますので「貿易事務」のワードだけに惹かれずしっかりと業務内容の確認をしてください。
そのため将来的に船を使った貿易を行うのか?飛行機を使った貿易なのか?などどのような環境の貿易アドバイザーとして活躍したいかを事前にイメージしておくと将来設計がスムーズにできるでしょう。
- 貿易書類の作成や処理
- 「輸出」「輸入」「通関」などの手配
- 出荷・納品管理
- 英語などによる電話やメール応対
このような業務は貿易アドバイザーになっても行う必要があることなので、全ての業務が経験としてその後の独立開業に役立ってきます。
貿易アドバイザーの受験方法
初めに貿易アドバイザー試験を受験するには、原則として3年程度の業務経験が必要になるので、未経験の方はまず貿易業務に携わる必要があります。
受験申し込み期間は9月の上旬〜11月上旬ごろまでなので、その間にAIBA認定貿易アドバイザー試験の公式サイトから申し込みが必要です。
試験は1次試験と2次試験があり、どちらも合格しなければ貿易アドバイザーの認定は得られません。1次試験は毎年11月下旬に行われ、2次試験は1月の中旬に行われます。
なお2次試験を受験するには1次試験に合格している必要があるので、先に2次試験だけ受験することはできません。1次試験だけ合格し、2次試験が不合格だった場合は次回の1次試験は免除されます。
受験の申し込み方法は郵送にて申込書と縦4cm×横3cmの写真を2枚送り、受験料10,000円を振り込まなければなりません。クレジットカードでの支払いなどには対応していないため振込のみになります。
試験会場は1次試験と2次試験では対応している会場が異なるため事前に確認を忘れないようにしてください。
1次試験開催地区 | 2次試験開催地区 |
東京 | ※東京 |
大阪 | |
名古屋 | |
広島 | |
福岡 | 大阪 |
仙台 | |
札幌 |
※東京の場合1次試験と2次試験の会場が異なります。さらに内容は公式サイトから確認が可能です。
貿易アドバイザーの資格難易度と合格率
貿易アドバイザーの資格は原則3年以上の業務経験がなければ受験できないとお伝えしている通り、難易度の高い資格です。
貿易業務未経験の方は受験することもできませんし、試験範囲も広く簡単には合格できない資格となっています。
また、受験資格にある原則3年以上の業務経験が必要とのことですが明確な条件が非公開のため正確なことはお伝えできません。
合格率は公表されており、
合格率 | |
1次試験 | 15%〜20% |
2次試験 | 85%〜90% |
このようになっています。2次試験は1次試験の合格者しか受験できないため、1次試験突破が貿易アドバイザー試験突破の鍵になると言えるでしょう。
貿易アドバイザーの試験内容
貿易アドバイザーの資格試験は1次試験と2次試験に分かれています。1次試験は3科目の筆記試験となり、選択式と記述式の解答方法です。
各科目100点合計300点となっていますが、合格基準は非公開のため明確な基準をお伝えすることはできません。
2次試験は1次試験の合否通知書とともに合格だった場合小論文の課題が送付されるのでそこに指定された字数以内でA4用紙に論文を書き、略歴書とともに事前に提出して審査をし面接試験を行います。
貿易アドバイザー1次試験の概要
貿易アドバイザーの1次試験は筆記試験で選択式と一部記述式の問題構成をしています。
試験の科目3科目あり大まかに説明すると、
- 貿易英語
- 貿易実務
- 国際マーケティング
これら3つの科目で構成されていて、各科目100点合計点数が300点です。合格基準は非公開のため残念ながらお伝えすることができません。
試験の問題数などは公開されているため以下の表にまとめました。
科目 | 試験時間 | 出題数 | 配点 |
貿易英語 | 80分 | 35問 | 70点 |
英作文1問 | 30点 | ||
貿易実務 | 80分 | 50問 | 100点 |
国際マーケティング | 80分 | 50問 | 100点 |
これらの試験は1日で行われ、時間割は以下のようになっています。
- 受付開始 9:30〜
- 事務連絡 10:20〜10:30
- 貿易英語 10:30〜11:50
- 貿易実務 13:00〜14:20
- 国際マーケティング 14:40〜16:00
こういったスケジュールになっているため1日使って試験を受けることになり、途中で昼休憩がありますがあまり試験の復習をする時間はありません。事前にしっかりと試験対策を行うのが良いでしょう。
この1次試験終了後の1ヶ月過ぎごろに合否の通知が郵送で届き、合格だった場合2次試験用の小論文の課題が送られてくるので、それを事前に提出し審査を経て面接試験となります。
貿易アドバイザー2次試験の概要
貿易アドバイザーの2次試験は事前に行う小論文と略歴書の提出をしてから審査を経て面接試験を行うことになります。
細かな試験概要は非公開のためわかりませんが、主に以下の部分を総合評価して合否を決定していると言われています。
- 職務経歴書
- 事前に提出した小論文
- アドバイザーとしての資質
- 経験
- 今後の意欲
このようなことに関しての総合的な評価を行い、その結果合否にかかわらず結果がおよそ1ヶ月後に郵送にて送付されます。
そして、2次試験も無事に合格された方には貿易アドバイザーの試験合格証が交付され、貿易アドバザー試験は終了です。
貿易アドバイザーの独学での勉強方法
貿易アドバイザー試験対策のテキストや問題集は市販されているものが少ないため独学での勉強はできないと思われるかもしれませんが、独学でも合格を目指すことが可能です。
ですが、貿易英語ができなければかなりの時間を費やす必要があります。英作文のテストや実務では英語による契約書なども作成しなければならないのでここは避けて通ることはできません。
試験対策テキストとしてはAIBA貿易アドバイザー協会が発行している問題集の購入と、貿易実務検定の対策書を活用するのが良いでしょう。
また、試験で重要視されていることは「幅広いマーケティング知識や最新の国際ビジネスに対する理解」なので参考文献として、
- マーケティング・経営に関する理論の解説書
- 通商白書
- ジェトロ世界貿易投資報告書
これらの最新版に対する概要の把握を公式サイトが勧めいるので、目を通しておくと良いでしょう。
しかしながらもし可能であればAIBA貿易アドバイザー協会が主催する「実力養成セミナー」や「直前対策セミナー」へ足を運んだ方が良いです。
同じように試験合格を目指す仲間と切磋琢磨しあいモチベーションの維持にも役立ちますし、わからないところはすぐに質問できるのでいつまでもモヤモヤすることもありません。
結論として独学で貿易アドバイザー試験の勉強をする場合、
- 公式サイトで販売されているテキストを勉強
- 貿易事務検定のテキストも活用
- マーケティングや国際ビジネスに対する理解を深めるために解説書や通商白書、世界貿易投資報告書などの概要を理解する
- サンプル問題などを解いて試験に慣れる
これらのことを行い問題集をひたすら解くことが合格への近道と言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は希少性が高く国際貿易業として独立開業する場合に強い味方となる貿易アドバイザーについてお話しさせていただきました。
- 貿易アドバイザーは貿易コンサルティング能力を認定している唯一の資格
- 将来的には独立開業もできて、年収1,000万円以上を狙える
- 希少価値が高く国際貿易が盛んな現代では貴重な人材になれる
- 試験は1次試験と2次試験があり、1次試験突破が資格取得のカギ
- 専門の試験対策テキストなどは少ないが独学でも合格を目指せる
このような内容に関してお話しさせていただきました。今回の記事が皆様のお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。