福祉住環境コーディネーターは、高齢者や障害者にとって快適に過ごせる住環境を提案するアドバイザー認定資格です。
2036年には日本人口の3人に1人が高齢者になると言われています。
そんな超高齢化社会にとって、福祉住環境コーディネーターのニーズは高まっています。
今回は、福祉住環境コーディネーターの中でも特にニーズの高い「2級」の資格取得について徹底解説します。
福祉住環境コーディネーター2級に興味がある方はぜひ最後までご覧ください。
Contents
福祉住環境コーディネーター2級とは?

福祉住環境コーディネーターは、東京商工会議所が認定する民間資格です。
福祉・建築・医療という3つの分野で役立つ知識が得られます。
- 高齢者・障害者を取り巻く環境や社会情勢を理解する
- ユニバーサルデザイン・バリアフリー・福祉用具などの知識
- 安心・安全・快適な住まいづくりの知識
- 建築デザイン・建築費用などの知識
- 高齢者や障害者の心理や、起こりうる病気の内容
- 病気や障害の治療方法や対処法の知識
各業界の幅広い知識が得られます。
資格は、3級・2級・1級があります。
福祉住環境コーディネーター2級の試験では、実務に活かせる程度の知識と能力が必要です。
3級では、福祉の基本的な知識が試されます。
2級では、介護、医療、福祉、建築、福祉用具という幅広い知識を理解し、実践でも活用できるかが試されます。
- クライアントのニーズと経済的状況を理解し、適切な住環境と福祉用具などを提供・提案できるか。
- 福祉制度を理解し、活用できるか。
- 福祉住環境に関する様々な問題を解決できるか。
- 医療職、住宅施工事業者、ケアマネジャーなどの各専門職と連携して解決策を導き出せるか。
といった知識と技能が求められます。
福祉住環境コーディネーター2級はどんな人が取得する?
2級は、幅広い知識と技能が得られ、仕事の幅も増えるので、資格保有者が多いです。
下記表は、2級と3級の受験者の持っている資格です。

こちらは、2級受験者の業種です。

引用:東京商工会議所
受験者は、介護関係・医療関係が特に多いです。
福祉住環境コーディネーターとして働くというよりは、今働いている業種のスキルアップとして受験する傾向にあります。
ちなみに3級は学生が多く、1級は建築士が多くなります。
福祉住環境コーディネーター2級の受験要項

福祉住環境コーディネーターの受験要項は2022年時点では以下のとおりです。
3級 | 2級 | 1級 | |
受験資格 | なし | なし | なし |
受験日 | 7月と11月(年に2回) | 7月と11月(年に2回) | 12月(年に1回) |
試験方法 | IBT or CBT | IBT or CBT | CBT |
受験料 | 5,500円 | 7,700円 | 12,100円 |
試験形式 | 多岐選択式 | 多岐選択式 | 多岐選択式+記述 |
試験時間 | 90分 | 90分 | 180分 |
IBT:自宅や職場のパソコンから試験を行う。
CBT:会場に用意されたパソコンを使って試験を行う。※使用料として別途2,200円必要
どちらもインターネット経由で行われます。
合格基準は、どの級も100点満点中70点以上で合格となります。
いきなり2級を受験できる?
先ほども述べましたが、いきなり2級を受験することは可能です。
福祉系の試験では、受験資格に実務経験が必要な場合が多いですが、福祉住環境コーディネーターは実務経験が必要なく、誰でも試験を受けることが出来ます。
2級からでも合格が狙える方は以下の通りです。
- 医療福祉関係で働いてる方
- 建設建築関係で働かれている方
- 通信講座で学ばれている方
- 独学でもしっかり勉強ができる方
もともと知識がある方や、イチからでもしっかり勉強ができる方は3級を受けなくても合格が狙えます。
3級と2級のダブル受験も可能?
福祉住環境コーディネーターの3級と2級は、同じ日に申し込むことが可能です。
同時に試験を受ける場合は、受験料が合わせて13,200円が必要となります。
テキスト代や勉強する時間も3級と2級の両方が必要になるので、可能な方は2級からの受験をオススメします。
福祉住環境コーディネーター2級の合格率

福祉住環境コーディネーター2級の合格率は、下記の表の通りです。
実受験者 | 合格者 | 合格率 | |
2022年 | 5,804人 | 2,317人 | 39.9% |
2021年 | 10,617人 | 7,201人 | 67.8% |
2020年 | 10,778人 | 5,043人 | 46.8% |
2級の合格率は、40%〜70%です。
ちなみに、3級の合格率は下記の表のとおりです。
実受験者 | 合格者 | 合格率 | |
2022年 | 2,376人 | 937人 | 39.4% |
2021年 | 5,129人 | 3,391人 | 66.1% |
2020年 | 6,486人 | 4,335人 | 66.8% |
3級の合格率は、40〜60%です。
2級と3級では、合格率がほとんど変わりません。
福祉住環境コーディネーター2級の難易度
試験形式がマークシートということと、独学者の受験者が多い点からも、そこまで難易度は高くありません。
また、受験資格もないので比較的取りやすい資格と言えます。
ちなみに1級の合格率は10%未満です。
2級と3級に比べると、難易度がグッとあがります。
福祉住環境コーディネーター2級の勉強方法

福祉住環境コーディネーター2級の勉強方法は、独学か通信講座がほとんどです。
独学
独学の勉強方法は、公式テキストと過去問をひたすら繰り返すことをオススメします。
過去問を解いて、わからない部分は公式テキストで確認すると理解が深まります。
試験形式はマークシートですが、数字や文字を少しだけ変えた「ひっかけ問題」が多いので、過去問を繰り返し行うことで試験の傾向が掴めます。
公式テキストに出てくる数字はしっかりと覚えるようにしましょう。
福祉住環境コーディネーターの試験は、公式テキストから問題が出題されます。

引用:東京商工会議所
法改正される場合があるので、公式テキストは必ず最新バージョンを購入しましょう。
また、通勤時間などのスキマ時間には、アプリの活用もオススメです。
Apple StoreとGoogle playのどちらのバージョンもあります。
ゲーム感覚で学ぶことができ、公式テキストを持ち歩かなくて良いので便利です。
- 学習費用が安く済む(通信講座と比べると4万円以上!)
- 自分のペースで勉強ができる(期間に制限がない)
- 元々知識がある方にとっては知りたい部分だけ学べて効率的
- 初めて勉強する方にとっては理解するのに時間がかかる
- 質問ができない(自分で調べる必要がある)
- 自分でモチベーションを保つ必要がある
通信講座
以下に当てはまる方は、通信講座がおすすめです。
- 働きながらでも確実に1発で合格したい方
- 自分で勉強を進めるのが苦手な方
オススメの通信講座は、3つあります。
ユーキャン | ハウジングエージェンシー | 日建学院 | |
種類 | 2級・3級講座 | 2級講座 | 2級web講座 |
金額 | 49,000円(税込) | 30,800円(税込) | 一般:38,500円(税込)/学生:27,500円(税込) |
分割 | あり(3,800円×13回) | あり | 不明 |
期間 | 6ヶ月 | 7ヶ月 | 4ヶ月 |
教材 | オリジナルテキスト/DVD | オリジナルテキスト/公式テキスト/過去問題集 | 授業映像(60分×10回分) |
添削 | あり(7回) | あり(4回) | 不明 |
特徴 |
|
|
|
資料請求 | あり | あり | あり |
教育訓練給付金 | あり | あり | なし |
金額や期間、特徴等が異なるので、自分に合った通信講座を選びましょう。
- 教材が分かりやすい(テキストの内容が充実+解説動画あり)
- サポートが充実(添削や質問ができる)
- モチベーションが下がりにくい
- 学習費用がかかる(独学と比べると4万円以上!)
- 期間が決まっている場合は自分のペースで勉強ができない
- もともと知識がある方にとっては効率が悪い
勉強期間と勉強時間は?
福祉住環境コーディネーター2級の合格者の勉強期間と勉強時間は、下記の通りです。

引用:東京商工会議所
表から分かる通り、1日1時間を2か月(60時間以上)勉強を続ければ、合格が見えてきます。
個人差があるのでこれが正解とは限りませんが、これくらい勉強をしないと合格は難しいでしょう。
福祉住環境コーディネーター2級の仕事内容は?

仕事内容は、勤務先によって若干異なります。
- 住宅リフォームの提示
- 介護用具導入のアドバイス
- 申請書類の作成
詳しく説明していきます。
住宅リフォームの提示
高齢者や障害者であるクライアントから、改善してほしい箇所をヒアリングします。
多く言われる部分として、
- 段差の解消
- 階段や廊下に手すりをつける
- 引き戸にする(少ない力で開け閉め可能)
- 広いトイレやお風呂の確保(介護者も入りやすい)
などが挙げられます。
これらは、ケアマネージャーや医師、建築士と連携して提案をしていきます。
介護用具導入のアドバイス
リフォームで家の仕様を変えるだけではなく、介護用具が必要な場合もあります。
- 介護ベット
- 車椅子
- シャワーチェア
- 自動採尿器 など
クライアントの心身機能に合わせて、介護用具導入のアドバイスを行います。
住宅改修費支給申請の理由書の作成
福祉住環境コーディネーター2級以上の資格があると、「住宅改修費支給申請の理由書」の作成ができます。
- 在宅の要支援1または2の認定を受けた人
- 日常生活に必要なリフォームと認められた場合
この2つの条件が満たされた時、自治体がリフォーム費用を一部負担してくれます。
住宅改修費支給申請をする際に理由書が必要となり、福祉住環境コーディネーター2級以上を取得しているとできます。
理由書の作成は、介護支援専門員や作業療法士など専門的な資格保有者のみ認められています。
福祉住環境コーディネーター2級の資格を活かせる職場は?

福祉住環境コーディネーター2級の資格を活かせる仕事は、下記の通りです。
- 医療関係病院やリハビリテーションセンター
- 福祉関係介護施設や福祉用品取扱店
- 建築関係(ハウスメーカーや工務店、設計事務所)
まとめ

福祉住環境コーディネーター2級の資格があると、仕事の幅が広がります。
ステップアップやキャリアアップにぴったりの資格です。
また、ステップアップやキャリアアップだけでなく、自身の両親の為にも役立ちます。
高齢化社会であるこれからの時代にあると便利な資格であり、なくてはならない資格になるでしょう。